物理学者,機械学習を使う ―機械学習・深層学習の物理学への応用―

橋本 幸士(編)

橋本 幸士(編)

定価 3,850 円(本体 3,500 円+税)

A5判/212ページ
刊行日:2019年10月10日
ISBN:978-4-254-13129-1 C3042

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内容紹介

機械学習を使って物理学で何ができるのか。物性,統計物理,量子情報,素粒子・宇宙の4部構成。〔内容〕機械学習,深層学習が物理に何を起こそうとしているか/波動関数の解析/量子アニーリング/中性子星と核物質/超弦理論/他

編集部から

読者対象: 物理学専攻の学部生・院生・研究者

目次

まえがき
第0章 機械学習,深層学習が物理に何を起こそうとしているか
 0.1 機械学習とは
 0.2 深層学習のフレームワーク
 0.3 機械学習と物理
  0.3.1 特徴抽出による物理計算の高速化
  0.3.2 スピン系の物理の埋め込み
  0.3.3 ネットワークの構造と物理系の関係
 0.4 学習は物理に何を起こそうとしているか
第1部 物 性
第1章 深層学習による波動関数の解析 [大槻東巳・真野智裕]
 1.1 はじめに
 1.2 モデル
 1.3 手法
 1.4 ニューラルネットワークが示した相図
  1.4.1 2 次元系
  1.4.2 3 次元系
 1.5 ランダムなトポロジカル絶縁体
 1.6 この章を終えるに当たって
第2章 量子多体系とニューラルネットワーク [斎藤弘樹]
 2.1 量子多体問題の難しさ
  2.1.1 序
  2.1.2 一粒子と多粒子の違い
 2.2 ニューラルネットワークをどう使うか
  2.2.1 関数近似器としてのニューラルネットワーク
  2.2.2 波動関数をニューラルネットワークで表す
 2.3 ニューラルネットワークで基底状態を求める
  2.3.1 波動関数が既知の場合
  2.3.2 基底状態に至る手順
  2.3.3 簡単な例
  2.3.4 多体の場合:モンテカルロ法
 2.4 具体的な応用
  2.4.1 スピン系
  2.4.2 格子上の粒子系
  2.4.3 今後の展望
第3章 機械学習でハミルトニアンを推定する [藤田浩之]
 3.1 イントロダクション
  3.1.1 物性物理学におけるハミルトニアン
  3.1.2 ハミルトニアンの「画像」圧縮
  3.1.3 対角化の逆問題としての定式化
 3.2 有効模型の構成
  3.2.1 最適化手順
  3.2.2 例:1 次元half-filledハバード模型
 3.3 応用
  3.3.1 エンタングルメント・ハミルトニアンの構成
  3.3.2 親ハミルトニアンの構成
 3.4 おわりに
第4章 深層学習とポテンシャルフィッティング [安藤康伸]
 4.1 物質・材料をシミュレーションする
 4.2 代表的なポテンシャルとその背景
  4.2.1 レナード・ジョーンズポテンシャル
  4.2.2 スティリンジャー・ウェーバーポテンシャル
 4.3 フィッティングによるパラメータ決定
  4.3.1 第一原理計算の登場
  4.3.2 物理モデルに対するフィッティングとTTAM ポテンシャル
  4.3.3 ニューラルネットワークによるフィッティング
 4.4 ベーラー・パリネロの方法
  4.4.1 ニューラルネットワークによるフィッティングの課題
  4.4.2 対称性関数の導入
  4.4.3 サブネットワークの導入
 4.5 ニューラルネットワークポテンシャルを応用する際の課題
  4.5.1 そもそも何のためのポテンシャルなのか?
  4.5.2 フィッティングポテンシャルの利点と欠点
  4.5.3 データはどのように・どれくらい準備するのか?
 4.6 アモルファス物質シミュレーション
  4.6.1 アモルファス内部の粒子拡散経路の網羅探索
  4.6.2 妥当なアモルファス構造モデルの作成と検証
 4.7 おわりに
第2部 統計
第5章 自己学習モンテカルロ法 [永井佑紀]
 5.1 はじめに:機械学習を用いたシミュレーションの高速化
 5.2 マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC 法)の概略
  5.2.1 マルコフ連鎖モンテカルロ法
  5.2.2 メトロポリス・ヘイスティングス法
  5.2.3 MCMC 法の問題点とSLMC 法
 5.3 自己学習モンテカルロ法(SLMC 法)の概略
  5.3.1 基本コンセプト
  5.3.2 シミュレーションステップ1:学習(learn)
  5.3.3 シミュレーションステップ2:実行(earn)
 5.4 SLMC 法の有効模型の例
  5.4.1 二重交換模型
  5.4.2 不純物模型に対する連続時間量子モンテカルロ法
 5.5 今後の展望とまとめ
第6章 深層学習は統計系の配位から何をどう学ぶのか [青木健一・藤田達大・小林玉青]
 6.1 統計系を深層学習する
 6.2 正答率競争の行方と正答率の理論的上限
 6.3 最適化された機械はエネルギー分析器となる
 6.4 最適化された機械パラメータの解
 6.5 機械は自由エネルギーを確かに記憶した
 6.6 エピローグ:南京玉すだれ
第3部 量子情報
第7章 量子アニーリングが拓く機械学習の新時代 [大関真之]
 7.1 機械学習のブレークスルーの裏側
 7.2 量子アニーリングの概要
 7.3 ボルツマン機械学習
 7.4 量子アニーリングマシンの使い方
 7.5 他の機械学習の手法と量子アニーリング
第8章 量子計測と量子的な機械学習 [久良尚任]
 8.1 量子計測
  8.1.1 標準量子限界とハイゼンベルク限界
  8.1.2 位相推定
  8.1.3 ハミルトニアン推定
  8.1.4 複雑な系の量子計測
 8.2 量子計算における量子計測
  8.2.1 探索問題
  8.2.2 固有値分解
 8.3 機械学習における量子計測
  8.3.1 学習データセットの誤分類検出
  8.3.2 量子主成分分析
  8.3.3 おわりに
第4部 素粒子・宇宙
第9章 深層学習による中性子星と核物質の推定 [福嶋健二・村瀬功一]
 9.1 超高密度物質の研究は現代物理学の未解決問題
 9.2 観測される物理量と理論計算をつなぐ
 9.3 仮定をせずにどこまで遡れるのか?
 9.4 機械学習なら簡単です
  9.4.1 疑似データでテストする
  9.4.2 方法を説明する
  9.4.3 観測データから状態方程式を推定する
 9.5 まとめ
第10章 機械学習と繰り込み群 [船井正太郎]
 10.1 特徴の抽出
  10.1.1 Google の猫
  10.1.2 粗視化との関係
 10.2 イジング模型
  10.2.1 スピン配位
  10.2.2 繰り込み群
  10.2.3 温度測定
 10.3 機械学習とその結果
  10.3.1 制限ボルツマンマシン(RBM)
  10.3.2 RBM が作るフロー
  10.3.3 補足として
 10.4 繰り込み群との関係
第11章 量子色力学の符号問題への機械学習的アプローチ [柏 浩司]
 11.1 量子色力学とは何だろうか?
 11.2 符号問題とは何だろうか?
 11.3 積分経路の複素化による符号問題へのアプローチ
  11.3.1 複素ランジュバン法
  11.3.2 レフシッツ・シンブル法
  11.3.3 経路最適化法
 11.4 経路最適化法での機械学習による“よい” 積分経路の探索
 11.5 まとめと展望
第12章 格子場の理論と機械学習 [富谷昭夫]
 12.1 格子場の理論と格子QCD,モンテカルロ
  12.1.1 格子場の理論と格子QCD
  12.1.2 ハイブリッドモンテカルロ法
 12.2 制限ボルツマンマシン
 12.3 ボルツマンHMC 法
  12.3.1 実験結果
 12.4 まとめ
第13章 深層学習と超弦理論 [橋本幸士]
 13.1 逆問題と超弦理論のホログラフィー原理
  13.1.1 量子重力理論の問題
  13.1.2 ホログラフィー原理
  13.1.3逆問題としてのホログラフィー原理
 13.2 ニューラルネットワークを時空と考えられるか
  13.2.1 ホログラフィー原理と深層学習の類似性
  13.2.2 ネットワークの重みと曲がった時空
 13.3 学習によって創発する時空
索引

執筆者紹介

■編集者
橋本幸士

■著者(執筆順)※所属は執筆当時
橋本幸士 大阪大学
大槻東巳 上智大学
真野智裕 上智大学
斎藤弘樹 電気通信大学
藤田浩之 東京大学
安藤康伸 産業技術総合研究所
永井佑紀 日本原子力研究開発機構
青木健一 金沢大学
藤田達大 金沢大学
小林玉青 米子工業高等専門学校
大関真之 東北大学
久良尚任 東京大学
福嶋健二 東京大学
村瀬功一 北京大学
船井正太郎 沖縄科学技術大学院大学
柏 浩司 福岡工業大学
富谷昭夫 理化学研究所

【編集者紹介】
橋本幸士
大阪大学大学院理学研究科 教授
著書に『Dブレーン ー超弦理論の高次元物体が描く世界像』(東京大学出版会),『超ひも理論をパパに習ってみた ー天才浪速阪教授の70分講義』(講談社)、『ディープラーニングと物理学 ー原理がわかる,応用ができる』(共著、講談社)など。

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