理論テクトニクス入門 ―構造地質学からのアプローチ―

山路 敦(著)

山路 敦(著)

定価 7,150 円(本体 6,500 円+税)

B5判/304ページ
刊行日:2000年09月25日
ISBN:978-4-254-16241-7 C3044

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内容紹介

構造地質学からテクトニクスに迫る。〔内容〕微小歪みと累積/応力とアイソスタシー/主応力と応力場/応力と歪み/断層/弾性と地殻応力/リソスフェアの弾性/線形流体/粘塑性体/小断層による古地殻応力測定/リソスフェアの動力学/他

編集部から

目次

 I. 変形と静力学
1. 歪 み
 1.1 連続体
 1.2 歪みの定義
 1.3 岩体の移動と変形
 1.4 変形の地質学的認定
 1.5 歪み楕円体のテンソルによる表現
 1.6 有限歪みテンソル
 1.7 剪断帯の変形
 1.8 変形史を編む
 1.9 バランス断面による巨視的変形量の計測
2. 微小歪みとその累積
 2.1 微小歪み
 2.2 時間的変化の記述
 2.3 変形の速度
 2.4 渦度だけで決まる古地磁気回転
 2.5 純剪断リフトの歪み速度と有限変形
 2.6 水星のグローバル収縮
 2.7 断層活動による岩体の変形
3. 応力とアイソスタシー
 3.1 応力の定義
 3.2 運動方程式と釣り合いの式
 3.3 応力テンソルの基本的性質
 3.4 微分形の運動方程式
 3.5 エネルギーの保存則
 3.6 上載荷重と静岩圧
 3.7 重力加速度の深度依存性
 3.8 アイソスタシー
 3.9 大陸と海洋の重量バランス
 3.10 堆積物の荷重
 3.11 定量層位学
 3.12 静岩圧状態における水平応力
4. 主応力と応力場
 4.1 主応力と主応力軸
 4.2 造構応力
 4.3 偏差応力による異方性の表現
 4.4 温度変化の記述
 4.5 海洋リソスフェアの冷却沈降
 4.6 高度差による応力
 4.7 堆積盆の冷却沈降
 4.8 リフト期変形速度の時間変化
 4.9 モールダイアグラム
 4.10 応力の境界条件
 4.11 応力の実測
 4.12 岩脈による古応力場の推定
 4.13 地球表層部における応力場の大勢
 II. 動力学
5. 応力と歪みの関係
 5.1 岩石の変形実験
 5.2 物質客観性と等方性
6. 断 層
 6.1 断層の形成
 6.2 クーロン‐ナビエの破壊基準
 6.3 Anderson理論
 6.4 間隙流体圧による破壊強度の減少
 6.5 断層面の摩擦抵抗
 6.6 既存断層の再活動
 6.7 地下の岩石の脆性強度
7. 弾性と地殻応力
 7.1 線形弾性体
 7.2 安息状態の地圧
 7.3 弾性的岩盤の破壊
 7.4 熱応力
 7.5 グローバル熱史と表層の応力場
8. リソスフェアの弾性
 8.1 領域アイソスタシー
 8.2 薄い弾性版のたわみ
 8.3 海洋性リソスフェアの弾性
 8.4 座屈褶曲
 8.5 リフトの肩の隆起
 8.6 アイソスタシーと補償率
 8.7 重力異常と地形による等価弾性厚の見積もり
 8.8 月の海のテクトニクス
9. 線形流体
 9.1 流体
 9.2 流れ関数
 9.3 地形の粘性緩和
 9.4 構造の自律形成
 9.5 ブーディンと褶曲の形成
 9.6 マントル対流の地表表現としての昇降運動
 9.7 渦度だけでは決まらない古地磁気回転
10. 粘塑性体
 10.1 準線形流体
 10.2 応力空間
 10.3 降伏条件
 10.4 曲げられた弾塑性体層の降伏
 10.5 すべり線場
 10.6 衝突クレーターの崩壊
 10.7 複雑クレーター形成モデル
 10.8 ベキ乗流体
11. 小断層による古地殻応力測定
 11.l 共役断層法
 11.2 応力と断層変位の方向
 11.3 Meansの図解
 11.4 小断層による地殻応力の推定
 11.5 塑性論との関係
 11.6 Rechesモデル
 l1.7 TPHモデル
12. リソスフェアの動力学
 12.1 強度断面
 12.2 引張り不安定
 12.3 なにが等価弾性厚を決めるか
 12.4 周期的変形
13. 付 録
 13.1 数式の説明
 13.2 練習問題の解答
14. 参考文献
15. 索  引

執筆者紹介

執筆者の山路 敦先生は2020年度の日本地質学会賞を受賞されました。
「山路会員は,卓越した調査スキルによりフィールドから取得した質の高い定量的データに基づき,地質学と物理学のことばを通じた理論テクトニクス研究を長年にわたり進めてきた。研究当初には,グリーンタフ時代の変動がリフト形成に伴うものであることを地質調査によって明らかにし,日本海拡大に関する日本列島のテクトニクスモデルをフィールドデータに基づき提示した。その後,研究を地殻変動史の解明に集中させ,野外調査と理論的研究を統合する手法で,島弧の構造発達史の理解に大きく貢献した。その中で,2000 年の多重逆解法(Multiple inverse method)を始めとして,断層や変形構造に関する新たなデータ解析法を精力的に開発した。また,応力や歪みの解析ソフトウェアを独自に作成して国内外の地質学コミュニティへ広く公表し,新しい解析法の普及に尽力しただけではなく,構造変形に関する新たな描像の構築に貢献した。さらに, フィールド研究の経験を惑星科学に応用し,月の地下構造に関する新しい見方を提供した。
教育面においては,「フィールド・キャンプ」をたびたび開催するなど,野外調査の重要性,特に地質図作成法とフィールドデータの解析手法を内外の学生らに惜しみなく伝え,地質学コミュニティの裾野拡大とフィールド教育の継承・発展に貢献した。また,著書「理論テクトニクス入門」および「An Introduction to Tectonophysics」は,テクトニクスを物理現象として理解するための専門書として国内外から高い評価を得ている。(日本地質学会ウェブサイトより)

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