数学の流れ30講 (上) ―16世紀まで―

志賀 浩二(著)

志賀 浩二(著)

定価 3,190 円(本体 2,900 円+税)

A5判/208ページ
刊行日:2007年02月20日
ISBN:978-4-254-11746-2 C3341

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内容紹介

数学とはいったいどんな学問なのか,それはどのようにして育ってきたのか,その時代背景を考察しながら珠玉の文章で読者と共に旅する。〔内容〕水源は不明でも/エジプトの数学/アラビアの目覚め/中世イタリア都市の繁栄/大航海時代/他。

編集部から

 ご存じ「数学30講シリーズ」はロングセラーといってよい評価を得ていると思われる。小社に届く愛読者カードでは,ベクトルバンドなどさらに高度の内容の続刊を望む方もいれば,数学の歴史を鳥瞰的に眺めたいという読者も多かった。
 そのような要望もあって,今回の企画をお願いしたわけである。とはいえ志賀先生は「私は,誰がどのような業績をどのように発展させたかという数学史は書きたくない。むしろその発展の背景にある時代状況を数学者がどう把握してどう認識を進めたかという視点で書きたい」とおっしゃる。
 もちろん志賀先生ご自身も,その挑戦を果たすためには「図書館で相当勉強せねばならない」と覚悟のうえでの発露だったようだ。
 「数学30講シリーズ」では食事・睡眠・犬の散歩以外はすべて机に向かっていたとおっしゃっていたが,今回は新潟にいらっしゃる先生のご母堂の介護で毎週末に新幹線で往復されていたので,車内では原稿の構想と執筆済み原稿の調整に費やし,車外風景はほとんど記憶にないという。
 また,志賀先生のお原稿はすべて原稿用紙にペンで書かれるので,一度書かれたものを“破っては捨てて”という作業を今回も繰り返された。パソコンでは思考に“乱れ”が生じるそうである。 なお,担当の森川君は先生の細部にわたる要望によく応えてくれて,図版の確認など地元の図書館にも繁く通ってくれた。
 上巻は本年2月に刊行されたが,中巻(19世紀まで)は今秋刊行となる。下巻も現在執筆中だが,「たしかに,数学は19世紀後半以降驚くほど抽象化・個別化・多彩化しており,全体を理解・判断・解説することはもう困難かもしれない」と嘆かれるが,たしかに今回のように一人の著者で数学という世界にその広さ・深さを探る旅は今後不可能かもしれないという予感を覚えてしまう。(森田)

目次

第1講 水源は不明でも
 文明と文化のはざま
 数えるということ
 夜明け前
 古代の数学の史料
第2講 バビロニアの数学
 シュメール,バビロニアの歴史
 60進法によるバビロニアの数学
 バビロニアの天文学
第3講 エジプトの数学
 古代エジプトの歴史
 エジプトの数字
 エジプトの計算法
第4講 エジプトの数学
 エジプトの分数
 リンド・パピルス
 エジプトの幾何学
第5講 古代ギリシァ
 ギリシァの歴史
 タレス
 古代ギリシァの思想家たち
第6講 ピタゴラス
 ピタゴラスの生涯
 数について
 ピタゴラスの定理
 比と無理量
 無理量の発見
第7講 ギリシァ文化と数学
 文化の枠組み
 ギリシァ文化の特質
 幾何学の誕生
 プラトンのイデア論
第8講 アテナイと数学者たち
 アテナイ
 三大難問
 ヒッポクラテス
第9講 ギリシァの数学者たち
 アンティポン
 アルキュタス
 メナイクモス
 ヒッピアス
第10講 『原論』の成立
 『原論』の誕生
 『原論』とギリシァ数学
 プラトン
 テアイテトス
第11講 『原論』第1巻
 原論――ストイケイア
 定義
 公準
 第5公準
 共通概念
 命題
第12講 『原論』の構成
 第2巻,第3巻,第4巻
 第5巻,第6巻
 第7巻,第8巻,第9巻
 第10巻
 第11巻,第12巻,第13巻
第13講 ヘレニズムの開花
 ギリシァからヘレニズム時代へ
 ヘレニズム時代の数学
 ヘロン
 パッポス
第14講 アルキメデス
 アルキメデスの生涯
 アルキメデスの著作
 とりつくしの方法
 放物線の面積
 円の面積,球の体積と表面積
第15講 アポロニウス
 アポロニウスとギリシァ数学の高峰
 アポロニウスの著作
 円錐曲線論
 共役半径
第16講 ディオファントス
 アレクサンドリアのたそがれ
 ディオファントス
 Arithmetica
 『算術』の中から
第17講 ギリシァの天文学
 1つの思い出
 タレスからエウクレイデスまで
 エウドクソス
 アポロニウス
 周転円
 プトレマイオス
第18講 ギリシァの三角法
 角の単位
 ヒッパルコス
 プトレマイオスの『アルマゲスト』
第19講 ヘレニズムのたそがれとアラビアの勃興
 ローマの盛衰
 シリア・ヘレニズム
 砂漠の民アラブ
 ムハンマドとイスラーム帝国の誕生
第20講 アラビアの目覚め
 アラビア・ルネッサンス
 知恵の館
 インド(ヒンズー)の10進法
 イスラームにおける10進表記
第21講 代数学の誕生
 アル=フワーリズミー
 代数学の誕生
 アラビアと代数
第22講 代数学の進展
 アブ=カミール
 アル=カラージ
 オマール・カイヤム
 アラビア数学の特質とその後の展開
第23講 アラビアの三角法
 古代天文学のアラビアへの移入
 インドの天文学と三角法
 アラビアの三角法
第24講 アラビアの衰退と中世ヨーロッパの目覚め
 アラビアの衰退
 スペインにおけるイスラーム
 アラビアの学問と中世との接触
第25講 中世イタリア都市の繁栄
 イタリアの商業都市
 中世経済の拡大
 読み書き算盤
 ローマ数字とアラビア数字
第26講 算術と演算記号
 ピサのレオナルド――フィボナッチ
 『算術の書』の中のいくつかの問題
 演算の記号
第27講 3次方程式と4次方程式
 イタリアにおける代数方程式への関心
 デル・フェルロとタルタリア
 カルダーノとタルタリア
 カルダーノとフェラリ
第28講 暦と時間
 日を数え,時間を測る
 太陽暦と太陰暦
 ローマと中世の暦
 ユリウス暦と復活祭
 時間と時計
第29講 過渡期
 レギオモンタヌス
 ヴィエト
第30講 大航海時代
 大航海時代と新しい数学
 ポルトガルの船出
 船の位置と天文学
 経度と時計

事項索引
人名索引

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