サプライ・チェイン最適化ハンドブック

久保 幹雄(著)

久保 幹雄(著)

定価 18,700 円(本体 17,000 円+税)

A5判/520ページ
刊行日:2007年10月15日
ISBN:978-4-254-27015-0 C3050

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内容紹介

工学的なアプローチの必要性から実務界において大きな注目を浴びている,サプライ・チェイン最適化に関する数学的基礎から理論と応用をまとめた書。〔内容〕数理計画入門/線形計画/整数計画/区分的線形関数/グラフとネットワーク/経済発注量モデル/動的ロットサイズ決定モデル/確率的在庫モデル/鞭効果/安全在庫配置モデル/施設配置モデル/ロジスティックネットワーク設計モデル/収益管理/動的価値付けモデル/配送計画モデル/運搬スケジューリングモデル/他。

編集部から

 サプライ・チェインとは,企業活動の上で,取引先との間の受発注,資材調達から在庫管理,製品配送まで,事業活動の川上から川下までをIT技術を使いながら総合的に管理することで,余分な在庫を削減し,コストを引き下げる手法と言えます。古くはロジスティクスと言われていましたが,情報技術の導入によってよりモダンなものとなっています。ハミルトンというコンサルティング会社の社長がネーミングしたものです。単語のごとく「供給連鎖」という意味で,供給にあたってすべてが結び付き合い,鎖のようにそのリンクが強固である必要があるとの意味が込められています。
 ロジスティクスは兵站のことで,戦場での前線部隊のために軍需品,食糧,馬などの供給・補充を担う後方部隊の役目を意味し,戦争というものの遺産でもあります。余談ですが,高機能化している携帯とか家電に,どれだけ軍需目的の技術が組み込まれているかを考えると,ちょっと複雑な気持ちにもなります。
 本書では,一つ一つの鎖の部分を1章ずつ費やしながら丁寧に解説しています。もちろん,技術ですので数式は出てきますが,その展開を大事にした記述ですので見た目ほどには難しくはありません。また,前半6つの章を用いて,基本的な数理について楽しめる図を多用しながらやさしく解説していることも本書の特徴と言えます。
 久保先生がおひとりでまとめたことにより,全編筋が通った記述がなされていますので,理解するうえでこの上なく貴重なものとなりました。(田村)

目次

1. サプライ・チェインとは
1.1 絵による説明
1.2 オブジェクトによる説明
1.3 活動による説明
1.4 意思決定の階層
1.5 意思決定と情報技術

2. 数理計画入門
2.1 数理計画と
2.2 鶴亀蛸算

3. 線形計画
3.1 線形計画と図式解法
3.2 AMPLによるモデル化
3.3 双対問題
3.4 航空機の座席の配分
3.5 絶対値の定式化
3.6 主問題と双対問題(一般論)
3.7 Dantzig--Wolfeの分解法
3.8 確率計画
3.9 ロバスト最適化

4. 整数計画
4.1 ナップサック問題
4.2 強制制約
4.3 強い定式化と弱い定式化
4.4 離接制約
4.5 多面体論の基礎
4.6 スケジューリング問題
4.7 巡回セールスマン問題
4.8 混合整数丸め不等式
4.9 余裕変数つきの整数ナップサックに対する妥当不等式
4.10 余裕変数つきの0-1ナップサックに対する妥当不等式
4.11 フロー被覆不等式
4.12 Lagrange緩和

5. 区分的線形関数
5.1 凸関数の最小化
5.2 凹関数の最小化
5.3 定式化間の関係
5.4 任意の非線形関数の最小化

6. グラフとネットワーク
6.1 グラフ・ネットワークの基礎
6.2 最小木問題
6.3 最短路問題
6.4 最大流問題
6.5 最小費用流問題
6.6 多品種流問題
6.7 最小木問題の定式化

7. サプライ・チェインとモデル
7.1 モデルとは
7.2 モデルの評価尺度
7.3 モデリングのための十戒
7.4 サプライ・チェイン統合モデル
7.5 汎輸送モデル
7.6 汎スケジューリングモデ
7.7 汎在庫モデル

8. 経済発注量モデル
8.1 Harrisのモデル
8.2 バックオーダーを考慮したモデル
8.3 容量を考慮した複数品目モデル
8.4 生産を考慮したモデル
8.5 数量割引を考慮したモデル
8.6 2のべき乗方策
8.7 直列多段階モデル
8.8 1倉庫・多小売店モデル

9. 動的ロットサイズ決定モデル
9.1 単一段階・単一品目モデル
9.2 単一段階・多品目モデル
9.3 多段階モデル
9.4 近似解法
9.5 ローリング・ホライズン方式

10. 確率的在庫モデル
10.1 サービスレベルと安全在庫係数
10.2 新聞売り子モデル
10.3 1段階モデル(需要が非定常なとき)
10.4 多段階モデル(需要が非定常なとき)
10.5 基在庫方策(多段階モデル)
10.6 定期発注方策(1段階モデル)
10.7 定期発注方策(多段階モデル)
10.8 定期発注方策(一般ネットワークモデル)
10.9 基在庫方策の最適性

11. 鞭効果
11.1 なぜ鞭効果が起きるのか?
11.2 解析的モデル
11.3 対処法と実践例

12. 安全在庫配置モデル
12.1 直列多段階モデル
12.2 木ネットワークモデル
12.3 閉路を含まないネットワークに対する混合整数計画アプローチ
12.4 遅延差別化とリスク共同管理

13. 施設配置モデル
13.1 代表的な問題
13.2 モデルの分類
13.3 Weber問題に対する解法
13.4 定式化
13.5 厳密解法

14. ロジスティクス・ネットワーク設計モデル
14.1 実ロジスティクス・オブジェクトを用いたモデル
14.2 モデルの拡張
14.3 グローバル・ロジスティクス・ネットワーク設計モデル
14.4 抽象ロジスティクス・オブジェクトを用いた基本モデル
14.5 多期間モデル
14.6 輸送機器の移動を考慮したモデル

15. 収益管理
15.1 1行程に対する在庫割り当てモデル
15.2 ネットワーク型在庫割り当てに対する動的計画モデル
15.3 ネットワーク型在庫割り当てに対する数理計画モデル
15.4 ネットワーク型在庫割り当てに対するコントロール方策
15.5 最適価格決定モデル

16. サプライ・チェイン動的価格づけモデル
16.1 輸送の例題
16.2 需要価格関数
16.3 価格を考慮した経済発注量モデル
16.4 価格を考慮した確率的在庫モデル
16.5 価格を考慮した動的ロットサイズ決定モデル
16.6 価格を考慮したロジスティクス・ネットワーク設計モデル

17. スケジューリングモデル
17.1 用語と記号
17.2 モデルの分類
17.3 代表的な問題
17.4 スケジュールの図式表現
17.5 定式化
17.6 近似解法
17.7 厳密解法

18. 配送計画モデル
18.1 用語と記号
18.2 モデルの分類
18.3 定式化
18.4 構築法
18.5 ルート先・クラスター後法
18.6 クラスター先・ルート後法
18.7 Cross-opt

19. 運搬スケジューリングモデル
19.1 簡単な場合
19.2 基本モデル
19.3 解法
19.4 資源制約つき最短路問題に対する動的計画
19.5 拡張モデル
19.6 輸送手段の種類
19.7 航空機産業における応用

文  献
索  引

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