物理学をつくった重要な実験はいかに報告されたか ―ガリレオからアインシュタインまで―

清水 忠雄(監訳)/大苗 敦清水 祐公子(訳)

清水 忠雄(監訳)/大苗 敦清水 祐公子(訳)

定価 7,150 円(本体 6,500 円+税)

A5判/416ページ
刊行日:2018年10月20日
ISBN:978-4-254-10280-2 C3040

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内容紹介

物理学史に残る偉大な実験はいかに「報告」されたか。17世紀ガリレオから20世紀前半まで,24人の物理学者による歴史的実験の第一報を抄録・解説。新発見の驚きと熱気が伝わる物理実験史。クーロン,ファラデー,ミリカン,他。

編集部から

○書籍タイトル変更のお知らせ(2018年8月31日)
 先に,
 『物理学をつくった24の実験報告―ガリレオからアインシュタインまで―』
 とご案内しておりましたが、
 『物理学をつくった重要な実験はいかに報告されたか―ガリレオからアインシュタインまで―』
 と変更になりました。よろしくお願いします。

○本書について
『Great Experiments in Physics』 ( Morris H. Shamos編 ) の翻訳。
科学史に残る偉大な物理実験が「いかに発見・報告されたか」を見せるユニークな書。17世紀(ガリレオ)から20世紀(アインシュタイン)まで,理系なら誰でも知っている24の著名な物理学上の大発見について,「それを初めて報告した第一論文」を抜粋で紹介.あわせて,学者の人物像や実験の意義も解説。
現代の物理学では共通語となっているさまざまな概念が生まれる前の時代にあって,物理学者たちが新発見をいかに解釈し,伝えようとしたか。発見者自身の報告を通じてその知的航跡をたどる。

○原著序文から(抜粋)
 科学教育における最も新しい考え方の一つは,物理学の視点が,古典的なものから現代的なものへと,歴史的に如何に作り上げられてきたかを,学生自身に探求させることである。しかし残念ながら,最近数十年の傾向はこれとはまったく逆の方向をたどってきた。
  (中略)
 我々の持つ重要な概念の多くは,経験に照らして“自明である”が故に,その概念の形成には物理学の歴史があったのだということを見失いがちである。すなわち我々が現在認めている概念は自然探求の限りない努力の成果であり,これら概念の起源は人類の知的発展の重要な要素を占めるものであることを見損なっている。したがって最近,科学の歴史についての関心が高まってきたことは,この意味で学術的にみても,教育的な見地からみても非常に心強い。
(中略)
 この本が副読本として,物理の修学過程で生じるさまざまなギャップを埋めてくれることも期待している.そのほかの科学の課程,科学史の課程の学生,あるいは専門外でも興味を持つ学生にとっても,これら偉大な実験の原典を調べることは,価値あることだと思われる。


訳者序文抜粋
 原著論文は,ガリレオの場合はイタリア語,ニュートンの場合はラテン語でかかれている。もちろんドイツ語,フランス語の場合もある。それらの場合,この本で読めるのは,英語に翻訳された文章で…(中略)…原著から英訳までかなり時間がたっているが,それでも翻訳された時期が,古いものでは,150年も前である。 (中略)
いまから見ればかなり当然な主張が,いろいろな弁解とともに繰り返される。このことがまたしばしば文脈を難解にしている.(中略)
 しかし時代背景を考えれば,このことはいたしかたの無いこととしなければならない.偉大な先人たちは,自己の考えを,長い伝統あるいは因習に反する形で表現しなければならなかったわけである。ただ実験の結果を淡々と記し,そこから結論をひきだせばよいというだけでは済まされない。今では当然なことを,言い出すのにも,かなりの勇気が必要だったのだろう。


目次

第1章 はじめに:近代科学の起源 
第2章 ガリレオ・ガリレイ    加速度運動
第3章 ロバート・ボイル     気体の圧力と体積の関係
第4章 アイザック・ニュートン   運動の法則
第5章 シャルル・ド・クーロン  電気および磁気の力
第6章 ヘンリー・キャヴェンディッシュ 重力の法則
第7章 トーマス・ヤング     光の干渉
第8章 オーギュスタン・フレネル 光の回折
第9章 ハンス・クリスチャン・エルステッド 電磁気
第10章 マイケル・ファラデー    電磁誘導および電気分解の法則
第11章 ハインリヒ・レンツ    レンツの法則
第12章 ジェームス・ジュール    熱の仕事当量(熱に等価な力学量)
第13章 ハインリヒ・ヘルツ    電磁波
第14章 ヴィルヘルム・K・レントゲン  X線
第15章 アンリ・ベクレル     自然放射能
第16章 ジョセフ・ジョン・トムソン 電子
第17章 アルベルト・アインシュタイン 光電効果
第18章 ロバート・ミリカン    基本電荷
第19章 アーネスト・ラザフォード 原子核変換の誘起
第20章 ジェームズ・チャドウィック 中性子
補編1 ジェームズ・クラーク・マクスウェル 電磁場
補編2 マックス・プランク    量子仮説
補編3 アルベルト・アインシュタイン 相対性理論
補編4 ニールス・ボーア     水素原子
補編5 アーサー・コンプトン    コンプトン効果

執筆者紹介

〈訳者略歴〉
清水忠雄(しみず・ただお)
1934年東京都生まれ.1961年東京大学大学院数物系研究科博士課程修了.理化学研究所,東京大学理学部教授,山口東京理科大学基礎工学部教授などを歴任.東京大学名誉教授.専門はレーザー科学・分光学で,日本の光学を牽引した人物の一人.著書・訳書に『ロングマン物理学辞典』(朝倉書店,1998)『基礎物理学シリーズ 計算物理』(朝倉書店,2002)『ペンギン物理学辞典』(朝倉書店,2012)など.

大苗 敦(おおなえ・あつし)
1958年東京都生まれ.1988年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程中退。同年通商産業省工業技術院計量研究所入所.アセチレンを使ったガスレーザー,および計量計測の専門家.日本物理学会、応用物理学会、日本分光学会各会員。2017年没.

清水祐公子(しみず・ゆきこ)
産業技術研究所主任研究員.専門は計測工学.

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