物理の考え方 1 磁性物理学 ―局在と遍歴,電子相関,スピンゆらぎと超伝導―

守谷 亨(著)

守谷 亨(著)

定価 3,740 円(本体 3,400 円+税)

A5判/164ページ
刊行日:2006年03月20日
ISBN:978-4-254-13741-5 C3342

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内容紹介

磁性物理学の基礎的な枠組みを理解するには,電子相関を理解することが不可欠である。本書では,遍歴モデルに基づく磁性理論を中心にして,20世紀以降電子相関の問題がどのように理解されてきたかを,全9章にわたって簡潔に解説する。

編集部から

【書評】
「日本物理学会誌 第62巻1号」の「新著紹介」欄で、
柳瀬陽一氏によって「・・・この本が最も生きるのは,この分野の知識をある程度持っているものが全体を一読することで,過去から現在に至るまでの研究のダイナミズムを体感することではないかと思う。著者自身の研究成果が内容の大半を占めているので,それぞれの段階で著者がどのようなことを考えて研究を進めていたかが伝わってくると思う。・・・」と、ご紹介いただきました。

【書評】
『固体物理2006年5月号』(アグネ技術センター)の「最近出た本・読んだ本」欄で、
永長直人氏(東大工学部教授)により、「・・・読み始めたら止まらず最後まで一気呵成に読んでしまったが、内容は豊富で深く、著者がどのようなことを考えながら研究を進めてきたかを知る上で貴重な本である。・・・」と、ご紹介いただきました。

目次

第1章 歴史的背景と現在の問題点
 1.1 磁性研究の歴史量子力学の時代に至るまでの粗筋
 1.2 局在モーメント・モデルに基づく磁性理論の発展
 1.3 遍歴電子モデルに基づく磁性理論の発展
 1.4 超伝導研究の歴史
 1.5 強相関電子系の超伝導
 1.6 現在の諸問題
第2章 強相関電子系のモデル
 2.1 タイトバインディング・モデル
 2.2 s-dモデル
 2.3 アンダーソン格子モデル
第3章 遍歴電子系の磁性理論(平均場近似)
 3.1 ストーナー平均場近似理論とその問題点
 3.2 反強磁性
 3.3 スピン密度波
 3.4 様々な磁気的秩序状態の安定性
 3.5 バンド理論の発展,磁性金属の基底状態
 3.6 電子相関と磁気秩序
第4章 スピンゆらぎの動的な平均場近似理論
 4.1 強磁性金属におけるスピン波とストーナー励起
 4.2 一般的なスピンゆらぎと動的帯磁率
 4.3 臨界スピンゆらぎ
 4.4 反強磁性スピン波と臨界スピンゆらぎ
 4.5 ハートレー―フォック―RPA理論の限界
第5章 磁気不安定点(量子臨界点)近傍のスピンゆらぎ
 5.1 動的帯磁率による自由エネルギーの表式
 5.2 パラマグノン理論
 5.3 自己無撞着なスピンゆらぎの理論
 5.4 SCR理論の結果
 5.5 運動方程式の方法によるSCR理論の導出
 5.6 グリーン関数とSCR理論
 5.7 量子臨界点近傍の異常物性
第6章 金属中の局在磁気モーメント
 6.1 s-dモデルと稀土類金属の磁性
 6.2 希薄合金のフリーデル理論とアンダーソン・モデル
 6.3 金属中の単独の局在モーメント:近藤効果
 6.4 金属中の局在モーメント対の相互作用
 6.5 局在モーメント描像に基づく金属の磁性理論
第7章 磁性化合物の金属・絶緑体転移:モット絶緑体とモット転移
 7.1 歴史的経緯
 7.2 絶縁体化合物の磁性理論
 7.3 遍歴モデルによる反強磁性絶緑体の理論
 7.4 金属絶縁体モット転移の理論
第8章 金属磁性の統一的描像
 8.1 統一理論の意義
 8.2 キュリーワイス帯磁率の現象論的考察
 8.3 平均モード結合近似
 8.4 局在モーメント描像の定式化と内挿理論
 8.5 展望
第9章 強相関電子系の超伝導
 9.1 高温超伝導を示す銅酸化物
 9.2 正常状態の異常物性
 9.3 電子対凝縮の理論
 9.4 反強磁性スピンゆらぎと高温超伝導
 9.5 2次元有機導体の超伝導
 9.6 重い電子系の非フェルミ液体性と超伝導
 9.7 擬ギヤップ現象
 9.8 展望
参考文献
索 引

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