現代物理学[展開シリーズ] 8 生物物理学

大木 和夫宮田 英威(著)

大木 和夫宮田 英威(著)

定価 4,290 円(本体 3,900 円+税)

A5判/256ページ
刊行日:2010年11月30日
ISBN:978-4-254-13788-0 C3342

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内容紹介

広範囲の分野にわたる生物物理学の生体膜と生物の力学的な機能を中心に解説。〔内容〕生命の誕生と進化の物理学/細胞と生体膜/研究方法/生体膜の物性と細胞の機能/生体分子間の相互作用/仕事をする酵素/細胞骨格/細胞運動の物理機構

編集部から

目次

0. はじめに

1. 生命の誕生と進化における物理学
 1.1 生物を構成する元素
 1.2 平衡状態と生体関連分子
 1.3 エネルギーの供給による平衡状態からの発展
 1.4 酵素蛋白質の触媒作用の原点
 1.5 生物の設計図としての遺伝情報
  1.5.1 二重らせん構造発見の歴史
  1.5.2 DNAとRNAの単体としてのヌクレオチド
  1.5.3 塩基対の法則
 1.6 DNA上の遺伝情報からの蛋白質の生合成
  1.6.1 核酸と蛋白質の関係
  1.6.2 アミノアシルtRNA合成酵素
  1.6.3 リボソーム
 1.7 地球生物の本質

2. 細胞と生体膜
 2.1 生体膜
 2.2 脂質集合体の熱力学
 2.3 脂質分子の形状と脂質集合体の構造
 2.4 蛋白質と細胞の機能
 2.5 情報処理素子としての細胞
 2.6 膜電位
 2.7 パッチクランプ法と単一チャンネルの挙動

3. 生きている状態と非平衡熱力学
 3.1 生体系の熱力学
 3.2 非平衡系の熱力学
 3.3 エントロピー生成速度極小の定理
 3.4 エントロピー生成速度の表式の導出

4. 生物物理学の研究方法
 4.1 X線回折法
  4.1.1 X線回折の原理
 4.2 電子顕微鏡
  4.2.1 透過電子顕微鏡(TEM)
  4.2.2 走査電子顕微鏡(SEM)
 4.3 示差走査熱量測定
 4.4 密度測定
 4.5 磁気共鳴
  4.5.1 電子スピン共鳴
  4.5.2 オーダーパラメーター,S
  4.5.3 TEMPOパラメーター
  4.5.4 スピン-スピン交換相互作用
  4.5.5 核磁気共鳴法
  4.5.6 磁気共鳴画像化装置
 4.6 蛍光測定法
  4.6.1 蛍光偏光異方性
  4.6.2 蛍光褪色回復法(側方拡散測定法)
  4.6.3 蛍光共鳴励起エネルギー移動法
  4.6.4 生体膜物性の顕微鏡イメージング
 4.7 ポジトロン断層法
  4.7.1 PETの原理と方法

5. 生体膜の構造と物性
 5.1 生体膜の構造
 5.2 相転移
 5.3 相分離

6. 蛋白質の構造と機能
 6.1 蛋白質の研究の歴史
 6.2 蛋白質の3次元構造の決定
 6.3 酵素の基本概念
 6.4 化学反応と酵素の反応速度論
  6.4.1 化学反応と酵素
  6.4.2 酵素の反応速度論
 6.5 酵素活性の制御
  6.5.1 酵素量の調節
  6.5.2 酵素活性のの調節
  6.5.3 酵素活性のアロステリック制御
 6.6 脂質と蛋白質の相互作用
  6.6.1 表在性膜蛋白質と内在性膜蛋白質
  6.6.2 膜蛋白質の生合成とシグナルペプチド
  6.6.3 膜モデル系での相互作用の研究

7. 地球環境と生物物理学
 7.1 遺伝子レベルの環境適応機構
 7.2 細胞の温度適応と膜物性
  7.2.1 相転移および膜流動性で観察した細胞の温度適応

8. 生体膜の物性と細胞の機能
 8.1 生体膜の流動性による拡散制御過程
 8.2 生物学的な拡散過程の低次元化
 8.3 生体膜の相分離と細胞の機能
  8.3.1 ラフト=生体膜のミクロドメイン
 8.4 細胞の刺激受容にともなう膜脂質変換と細胞の機能
 8.5 非二重層形成脂質と生体膜の機能
  8.5.1 非二重層形成脂質が形成する膜構造
  8.5.2 膜融合における非二重層膜構造
  8.5.3 生体膜形成の調節をする脂質貯蔵庫
  8.5.4 生体膜構造・物性の変化と生体膜の機能
 8.6 生物学の発展と生体膜研究

9. 生体の階層構造
 9.1 生体に見られる階層性
 9.2 蛋白質構造に見られる階層

10. 生体分子間の相互作用
 10.1 生体における相互作用
 10.2 生体分子間の相互作用
  10.2.1 生体における非共有結合の重要性
  10.2.2 さまざまな非共有結合の基本的性質
  10.2.3 相互作用ポテンシャルと熱エネルギー
  10.2.4 反発的相互作用
  10.2.5 生体における相互作用の実例
 10.3 分子間相互作用の力学的測定
  10.3.1 生体における相互作用と力
  10.3.2 微小力測定法
  10.3.3 力の測定例
  10.3.4 解離定数と結合力-細胞膜蛋白質間の結合
 10.4 結合・解離キネティックスと結合寿命に外力が与える影響
  10.4.1 結合解離の外力依存性のダイナミックな側面
  10.4.2 測定例
 10.5 結合解離ダイナミックスとポテンシャル
  10.5.1 エバンスらによる取り扱い
  10.5.2 エバンスらの測定系
  10.5.3 アビジン-ビオチンに対する測定
  10.5.4 結合時間の重要性

11. 仕事をする酵素
 11.1 酵素-基質複合体
 11.2 仕事をする酵素
  11.2.1 筋肉収縮
  11.2.2 メカノ酵素
  11.2.3 ミオシン分子
 11.3 ミオシンの機能と構造の関係
  11.3.1 ATP分解酵素としてのミオシン
  11.3.2 ミオシンによる力と動きの発生―クロスブリッジの「首ふり」モデル
  11.3.3 ミオシン頭部の結晶構造
  11.3.4 結晶構造から推定された頭部とアクチンプロトマーとの結合
  11.3.5 頭部の形状変化とATP分解の関係―レバーアーム仮説
  11.3.6 ATP加水分解を反映した中間体類似構造の研究
  11.3.7 構造から見たATP加水分解とレバーアーム角度変化の関係
  11.3.8 レバーアーム仮説の結晶構造以外の検討
 11.4 自由エネルギー変化との関係
 11.5 ミオシン機能の一分子測定
  11.5.1 運動アッセイによるミオシン分子の運動計測
  11.5.2 運動アッセイの2状態モデルによる解析
  11.5.3 ミオシン機能の力学計測

12. 細胞骨格
 12.1 細胞骨格とは
 12.2 細胞骨格蛋白質
  12.2.1 アクチン
  12.2.2 チューブリンと微小管
  12.2.3 中間径フィラメント蛋白質
 12.3 細胞膜骨格
  12.3.1 赤血球の膜骨格
  12.3.2 他の細胞の膜骨格とその役割
  12.3.3 細胞膜とアクチンフィラメントの結合
 12.4 細胞内骨格
  12.4.1 ストレスファイバー
  12.4.2 微小管とその役割
  12.4.3 中間径フィラメント
 12.5 細胞の機械的性質
  12.5.1 アクチンゲルの粘弾性的性質
  12.5.2 架橋されたアクチンフィラメント
  12.5.3 細胞の機械的性質―細胞外プローブによる測定
  12.5.4 細胞内プローブによる粘弾性測定
  12.5.5 解析モデル
  12.5.6 細胞の粘弾性測定―変形を与えない方法
  12.5.7 細胞質における拡散
  12.5.8 細胞の粘弾性と細胞活動

13. 細胞運動の物理機構
 13.1 細胞運動
 13.2 ラメリポディアの構造・運動
  13.2.1 ラメリポディアの構造
  13.2.2 ラメリポディアの運動性とアクチン重合・脱重合
 13.3 アクチン重合に依存する運動機構
 13.4 アクチン重合
  13.4.1 金属イオンによる重合誘起
  13.4.2 アクチン重合:速度論と臨界濃度
  13.4.3 ラメリポディアにおけるアクチンアーンオーバー
 13.5 アクチン重合により駆動される運動―必要な因子
  13.5.1 リステリア運動の再構成
  13.5.2 バクテリア運動における対称性の破れ
 13.6 アクチン重合による仕事の物理機構
  13.6.1 マクロなモデル
  13.6.2 ミクロなモデル―熱ラチェット
  13.6.3 ミクロなモデル―弾性ラチェット
  13.6.4 弾性ラチェットモデルの検討
 13.7 メソスコピックなモデル―アクチンゲルの圧力
 13.8 エンドトラッキングモーター
 13.9 アクチン重合による力発生の実測
  13.9.1 再構成系を用いた測定
  13.9.2 細胞を用いた実験
 13.10 微小管の重合と脱重合,ダイナミックインスタビリティ
 13.11 微小管重合による力発生の実測
  13.11.1 リポソーム中での微小管重合
  13.11.2 単一微小管の重合力測定
 13.12 表層輸送・逆向流動
 13.13 生体運動・揺らぎ

文 献
索 引

執筆者紹介

【編集】
倉本 義夫
江澤 潤一

【著者】
大木 和夫(前東北大学)
宮田 英威(前東北大学)

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