地形変化の科学 ―風化と侵食―

松倉 公憲(著)

松倉 公憲(著)

定価 6,380 円(本体 5,800 円+税)

B5判/256ページ
刊行日:2008年11月10日
ISBN:978-4-254-16052-9 C3044

ネット書店で購入する amazon e-hon 紀伊國屋書店 honto Honya Club Rakutenブックス

書店の店頭在庫を確認する 紀伊國屋書店 旭屋倶楽部

内容紹介

日本に頻発する地すべり・崖崩れや陥没・崩壊・土石流等の仕組みを風化と侵食という観点から約260の図写真と豊富なデータを駆使して詳述した理学と工学を結ぶ金字塔。〔内容〕風化プロセスと地形/斜面プロセス/風化速度と地形変化速度

編集部から

【書評】
「地理 2009年5月号」(古今書院)の「書架」欄で、
小口高氏により「・・・本書で紹介されている応用研究の大半は,松倉氏とその共同研究者によって行われたものである。研究の多くは国内・国外の一流の雑誌に発表されており,内容も多岐にわたる。このことは,松倉氏が広い人脈を持つ,卓越した地理学者・教育者であることを証明している。」と、ご紹介いただきました。

【書評】
「地質ニュース 2009年5月号」(実業広報社)の「新刊紹介」欄で、
磯部一洋氏により「・・・本書は地形や地質を学ぶ学生・大学院生はもとより,応用(地学)地質分野で地盤災害などの問題に取り組んでいる実務者にも是非お奨めしたい良書です。・・・」と、ご紹介いただきました。

目次

1. 本書で何を学ぶか
 1.1 岩石と地形との関係:一つの研究例と本書の問題設定  
 1.2 地形学小史 
 1.3 地形学のパラダイム:地形プロセス学と地形材料学
 1.4 本書で扱うテーマの範囲 

第1部 風化プロセスとその関連地形

2. 風化プロセスの基礎
 2.1 風化の定義と分類 
 2.2 風化研究の重要性 
 2.3 物理的風化作用 
 2.4 化学的風化作用
 2.5 生物風化作用 
 2.6 風化分帯と風化層の厚さ 
 2.7 各種の風化生成物 
3. 物理的風化作用とそれがつくる地形
 3.1 乾湿風化作用とそれがつくる地形 
 3.2 塩類風化作用とそれがつくる地形 
 3.3 塩類風化作用と凍結破砕作用で生じる地形:田切のノッチ地形 
 3.4 差別削剥地形  
4. 化学的風化作用と関連する地形
 4.1 溶解実験からみた岩石の化学的風化のしやすさ 
 4.2 火山岩の化学的風化 
 4.3 深成岩の化学的風化と地形 
 4.4 石灰岩の風化とカルスト地形  

第2部 斜面プロセス 

5. 斜面プロセスの基礎
 5.1 マスムーブメントの定義と分類 
 5.2 マスムーブメントの素因と誘因 
 5.3 マスムーブメントの発生要因と力学 
 5.4 マスムーブメントの力学・斜面の安定解析 
6. 落石と崖錐斜面
 6.1 崖錐斜面とそこでの斜面プロセス 
 6.2 落石の原因と落石量 
 6.3 崖錐斜面の勾配と崖錐物質の安息角およびせん断抵抗角との関係 
 6.4 崖錐斜面上での乾燥岩屑流とその厚さ  
 6.5 崖錐発達に関する数学モデル 
7. 崩落と崩壊(崖崩れと山崩れ)
 7.1 崖の限界自立高さ 
 7.2 シラス台地開析谷谷壁における崖崩れ 
 7.3 黄土台地の台地開析谷谷壁における崖崩れ 
 7.4 田切の谷壁斜面での崖崩れ 
 7.5 海食崖の崩落(1):豊浜トンネルにおける岩盤崩落 
 7.6 海食崖の崩落(2):石灰岩からなる海食崖の崩落 
 7.7 山崩れ(表層崩壊)の二,三の例 
 7.8 崩壊密度や崩壊周期をコントロールする岩質 
 7.9 砂岩・泥岩斜面での崩壊メカニズムと降雨値 
8. 地すべり
 8.1 地すべりの定義・分類  
 8.2 地すべり粘土とその特性 
 8.3 風化による強度低下および地下水位の上昇が引き起こす地すべり 
 8.4 地すべりの再活動のメカニズム 
 8.5 地震による地すべり  
 8.6 侵食および人為的影響による地すべり  
 8.7 地すべりの挙動と発生時期の予知 
9. 流動(ソリフラクション,泥流,土石流,岩屑流)
 9.1 岩盤クリープ  
 9.2 ソリフラクションと土壌匍行 
 9.3 ソリフラクションの関与する地形:非対称谷 
 9.4 泥 流  
 9.5 土石流 
 9.6 巨大・大規模崩壊に伴う岩屑流・岩屑なだれ 
 9.7 クイッククレイ地すべり 
10. 陥没・沈下
 10.1 陥没・沈下の例  
 10.2 大谷石採石場の陥没  
11. 斜面プロセスと斜面発達(地形変化)
 11.1 風化と斜面プロセス 
 11.2 斜面プロセスと斜面勾配 
 11.3 斜面の長期的発達:従順化と平行後退のモデル 

第3部 風化速度と削剥(地形変化)速度 

12. 風化・侵食速度に関するいくつかの研究例
 12.1 地形材料学からみた風化・削剥速度に関する研究小史 
 12.2 風化速度の研究例(その1:安山岩礫における風化皮膜の形成速度)  
 12.3 風化速度の研究例(その2:風化による多孔質流紋岩の強度低下)  
 12.4 風化速度の研究例(その3:風化による砂岩岩盤の強度低下速度)  
 12.5 風化による強度低下速度式  
 12.6 侵食速度の研究例(その1:喜界島における石灰岩地表面の低下速度)  
 12.7 侵食速度の研究例(その2:房総半島野島崎におけるタフォニの成長速度)
 12.8 侵食速度の研究例(その3:青島橋脚砂岩塊の窪みの形成とその成長速度)
13. 風化・侵食速度に関する地形学公式(岩石物性を取り込んだ解析)
 13.1 地形学公式に関するいくつかの研究例 
 13.2 タフォニの成長速度公式  
 13.3 青島橋脚砂岩塊に発達する窪みの成長速度公式 
 13.4 岩石の風化速度公式:各種岩型を用いた野外風化実験(タブレット実験) 
 13.5 岩盤の侵食速度公式 
 13.6 滝の後退速度公式 
14. 風化・侵食地形の年代学
 14.1 風化・侵食地形の年代学 
 14.2 宇宙線生成放射性核種年代測定法 
 
単位換算表 
索 引 
 事項索引 
 地名索引 

執筆者紹介

関連情報

ジャンル一覧

ジャンル一覧

  • Facebook
  • Twitter
  • 「愛読者の声」 ご投稿はこちら 「愛読者の声」 ご投稿はこちら
  • EBSCO eBooks
  • eBook Library