微化石の科学

H.A. アームストロングM.D. ブレイジャー(著)/池谷 仙之鎮西 清高(訳)

H.A. アームストロングM.D. ブレイジャー(著)/池谷 仙之鎮西 清高(訳)

定価 10,450 円(本体 9,500 円+税)

B5判/288ページ
刊行日:2007年06月25日
ISBN:978-4-254-16257-8 C3044

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内容紹介

Microfossils(2nd ed,2005)の翻訳。〔内容〕微古生物学の利用/生物圏の出現/アクリターク/渦鞭毛藻/キチノゾア/スコレコドント/花粉・胞子/石灰質ナノプランクトン/有孔虫/放散虫/珪藻/珪質鞭毛藻/介形虫/有毛虫/コノドント。

編集部から

 微化石(microfossil)とは主に顕微鏡を使わないとみえないサイズの化石を指し,微化石を扱う学問を微古生物学とよんでいます。ただ,「星砂」として知られる大型有孔虫の殻などは肉眼でも見える大きさですが,便宜的に他の有孔虫とともに微古生物学の対象になります。
 私たち素人は,化石といえば大型化石,それも恐竜のような脊椎動物化石を思い浮かべがちです。微化石を研究するメリットはどこにあるのでしょうか。
 ● 星砂の例でもわかるように大量に存在するため,発見が容易である。
 ● 環境変化を受けやすいことから地層の対比に役立つ(示準化石)。反対に,環境の復元にも重要な手がかりとなる(示相化石)。
 ● 約45億年の地球の歴史のうち,生命の誕生から大型化石の出現するまでの25億年ほどの間は微化石しか存在していない。
 このような理由で,古生物学の領域だけではなく,地球化学や気象学,地理学,考古学,堆積学など,一見微化石とは無縁のように思われる分野でも研究手法として微化石がよく用いられるようになっています。印象的な例をあげるなら,日本列島の成り立ちを解明するうえでの微古生物学の成果を表すのに「放散虫革命」という言葉があるくらいです。
 ただ,微化石と一言でいっても,シアノバクテリアなどの細菌,放散虫や有孔虫などの原生動物,コノドントのような脊椎動物,花粉・胞子などの植物といった多岐にわたっているため,翻訳はかなり大変な作業でした。20名ほどの専門家のアドバイスをいただきながらも訳者の池谷先生と鎮西先生はかなり苦労されたようです。
 「訳者まえがき」にあるように,世界的にもトップクラスにある日本の研究者の貢献がとりあげられていないことが残念ですが,いつかオリジナルの教科書ができる日を待ち望んでいます。(中村)

目次

I. 微古生物学の利用 
1章 序 論 
2章 微古生物学,進化,生命の多様性
3章 層序学における微化石の役割
4章 微化石,安定同位体,海洋- 大気の歴史 
5章 熱変成作用の指標としての微化石 

II. 生物圏の出現 
6章 生命の起源と初期の生物圏 
7章 真核生物の出現からカンブリア爆発まで
8章 細菌の生態系と微生物堆積物 

III. 有機質の殻をもつ微化石 
9章 アクリタークとプラシノ藻 
10章 渦鞭毛藻とエブリア 
11章 キチノゾア 
12章 スコレコドント 
13章 胞子と花粉 

IV. 無機質の殻をもつ微化石 
14章 石灰質ナノプランクトン(円石藻とディスコアスター) 
15章 有孔虫 
16章 ラディオゾア(棘針類,濃彩類,放散虫類)とヘリオゾア 
17章 珪 藻 
18章 珪質鞭毛藻と黄金色藻 
19章 繊毛虫(有鐘虫とカルピオネラ) 
20章 介形虫 
21章 コノドント 

付録:微化石の抽出法 
図の出典 
生物器官の名称・形態の呼称 
生物分類名索引 
事項索引 

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