ゴムの補強 ―ナノフィラーの可視化による機構解析―

粷谷 信三加藤 淳池田 裕子(著)

粷谷 信三加藤 淳池田 裕子(著)

定価 4,400 円(本体 4,000 円+税)

A5判/208ページ
刊行日:2019年03月01日
ISBN:978-4-254-25269-9 C3058

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内容紹介

ゴムの実用上もっとも基本的かつ重要な技術のひとつである「補強」に関する最新の知見を体系的に解説。〔内容〕ゴムにおける補強効果/3D-TEMによるナノフィラー分散の可視化/カーボンブラックによるゴムの補強機構/シリカ補強ゴム/他

編集部から

 ゴムに他の物質を混ぜることにより,弾力・耐久性などの物性を強化することを「補強」といいます。ゴムの実用上,もっとも基本的かつ重要な技術のひとつであり,長年にわたり数多くの検討がなされてきたものの,企業内部での非公開データなどが多く,体系的な研究解説はこれまでほとんど存在しませんでした。
 本書は,著者の長年の研究成果を中心に,ゴムの補強に関する100年にわたる研究の歴史や,関連する最新の研究報告もまとめられています。ゴムの補強のみを取り上げた書籍としては本邦初であり,ゴム材料のさらなる発展に貢献する一冊です。

目次

第1部 ゴムのフィラー補強
 1 ソフトナノコンポジットとしてのゴム材料
  1.1 カーボンブラック充てん加硫天然ゴム:ポリマー系複合材料の先駆け
  1.2 ナノフィラー充てんゴム架橋体における補強
  1.3 ソフトナノコンポジットの展開
 2 ゴムの補強とフィラー
  2.1 ゴムにおける補強効果
  2.2 ゴム用非補強性フィラー
  2.3 補強性ナノフィラー
   2.3.1 カーボンブラック(CB)
   2.3.2 シリカ
   2.3.3 球状粒子以外のゴム補強材料
  2.4 補強因子:バウンドラバーとストラクチャー
   2.4.1 補強作用の考え方
   2.4.2 バウンドラバー
   2.4.3 フィラーにおけるストラクチャー
   2.4.4 フィラー添加の流体力学的効果
   2.4.5 ナノフィラーのストラクチャー形成:フィラーのネットワーク構造
  2.5 ゴム補強の考え方に関する補足
   2.5.1 ペイン効果とマリンス効果
   2.5.2 佐藤・古川の補強理論
   2.5.3 混練とナノフィラー凝集体
   2.5.4 流体力学的効果の現時点での評価
   2.5.5 フィラー補強のプロモーター

第2部 ナノフィラーの分散解析とゴムの補強機構
 3 3次元透過電子顕微鏡(3D-TEM)の原理と実際
  3.1 透過電子顕微鏡(TEM)による像形成
  3.2 3D-TEMによる立体像の形成
   3.2.1 TEMとトモグラフィー
   3.2.2 トモグラフィーのTEMへの適用
   3.2.3 3D-TEM測定の注意点
 4 3D-TEMによるナノフィラー分散の可視化
  4.1 シリカ分散の3次元可視化
   4.1.1 硫黄加硫ゴムの測定前処理
   4.1.2 シリカ分散の3次元可視化像とその解析
   4.1.3 親水性および疎水性シリカの3次元可視化
  4.2 カーボンブラック分散の3次元可視化
   4.2.1 カーボンブラック分散の3次元可視化像とその解析
   4.2.2 カーボンブラックのネットワーク形成
  4.3 その他のフィラーの3次元可視化
 5 カーボンブラックによるゴムの補強機構
  5.1 前史(19世紀~20世紀前半)
  5.2 ゴム補強効果のモデルとその展開 I(20世紀後半~20世紀末)
  5.3 ゴム補強効果のモデルとその展開 II(21世紀初頭)
  5.4 放射光等を利用したフィラークラスターに関する最近の成果
  5.5 ゴムの補強機構と力学的レオロジーモデルについての試論

第3部 ゴムの非カーボン補強
 6 シリカ補強ゴム
  6.1 ゴム用シリカ粒子利用の変遷
   6.1.1 ゴム用湿式法シリカ
   6.1.2 ゾル–ゲル法によるin situシリカ充てんの始まり
  6.2 in situシリカ補強
   6.2.1 ジエン系ゴム網目系で生成,分散されたシリカ粒子
   6.2.2 混練可能なin situシリカ含有ゴム
   6.2.3 ラテックス中でのin situシリカ生成とフィラーネットワーク化 
 7 リグニン補強ゴム
  7.1 リグニンへの期待
  7.2 ソフトプロセスによるゴムへのリグニンの混合
  7.3 ゴム用補強性フィラーとしてのリグニン
 8 天然ゴムにおける自己補強性:テンプレート結晶化
  8.1 天然ゴムの結晶化
   8.1.1 アモルファスと結晶
   8.1.2 核生成と天然ゴムの低温結晶化
  8.2 テンプレート結晶化:天然ゴムの伸長結晶化機構
   8.2.1 伸びきり網目鎖
   8.2.2 テンプレートの生成と結晶化の進行
   8.2.3 テンプレート結晶化の速度論的モデル
  8.3 天然ゴムの自己補強性
   8.3.1 引張り特性
   8.3.2 引裂き特性:き裂成長の防止
   8.3.3 疲労特性
   8.3.4 天然ゴムにおける新たな機能性の発現

第4部 人類の持続的発展とゴムの補強
 9 ソフトマテリアルとしてのゴム系ナノコンポジットの将来
  9.1 グローバリゼーションと持続的発展:技術をめぐる歴史的背景
   9.1.1 グローバリゼーション:交通化と情報化
   9.1.2 交通化と情報化の相互作用と人類の持続的発展
  9.2 21世紀におけるソフトマテリアル
  9.3 21世紀におけるゴム系ナノコンポジット
   9.3.1 交通化とゴムの補強
   9.3.2 ゴム材料の将来
索引

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