ⓔコラム11-4-1 ディスペプシアの定義

 ディスペプシアはギリシャ語から派生した用語で,“poor digestion”を意味し,食後の不快感,食後のもたれ,心窩部痛,げっぷ,悪心などさまざまな腹部症状に対して使用されてきた.ディスペプシアの原因として,胃潰瘍や胆石症のような器質的疾患が存在する場合があるが,器質的疾患が認められないことも多い.そのような状態をnon–ulcer dyspepsia (NUD) とよんでいたが,American Gastroenterology Association Meetingの検討委員会でその定義が検討され,その結果が1988年のLancetに掲載された1).その内容は,上腹部または胸骨背部の痛み,不快感,胸やけ,悪心,嘔吐,そして上部消化管に由来すると考えられるほかの症状が,4週間以上続き,運動によって誘発されるものではなく,そして症状の原因となる局所または全身性の疾患が認められないもの,であった.

〔北條麻理子・永原章仁〕

■文献

  1. Colin-Jones DG and members of the working party: Management of dyspepsia: report of a working party. Lancet, 1988; 12: 576–579.