ⓔコラム12-1-11 門脈圧亢進症に対する薬物治療1)

 食道静脈瘤破裂の止血や破裂予防が目的である.肝内血管抵抗の改善薬には,肝内の一酸化窒素を増加させるisosorbide 5–mononitrateなどの亜硝酸製剤があり,門脈血流亢進を改善する薬剤として,バソプレシン,非選択性β遮断薬 (プロプラノロール塩酸塩,ナドロール),オクトレオチド酢酸塩などがある1)

 バソプレシンは血管平滑筋のV1受容体に結合して強力な血管収縮を生じ,内臓領域の細動脈の収縮により門脈血流を減少させる.非選択性β遮断薬は,おもにβ1受容体遮断によるα作用およびβ2受容体遮断作用により門脈圧を低下させる.ソマトスタチンアナログのオクトレオチド塩酸塩は内臓血管拡張作用をもつグルカゴンを抑制し,腸間膜静脈血流量を減少させる.

 食道静脈瘤の破裂時には,止血を目的としてバソプレシンの持続点滴投与とニトログリセリンのテープ剤が使用される.わが国では,非選択性β遮断薬,isosorbide 5–mononitrateのいずれも食道静脈瘤の予防的治療薬としての保険適用はない.

〔坂井田 功〕

■文献

  1. 金澤秀典:門脈圧亢進症のマネジメント・特殊な病態 薬物療法①:バソプレシン,β遮断薬など.門脈圧亢進症診療マニュアル (日本門脈圧亢進症学会編),南江堂,2015; 130–133.