ⓔコラム13-2-1 成人Still病の治療

 ステロイドは初期量にて反応があれば通常の膠原病治療に準じて減量する.ステロイドの減量困難時にも免疫抑制薬やトシリズマブの併用を考慮する.

 トシリズマブに関しては,ステロイド治療に抵抗性の日本人成人発症Still病 (AOSD) 対象の二重盲検ランダム化プラセボ比較試験が報告された1).二重盲検試験が12週間でトシリズマブ8 mg/kgかプラセボを2週ごとに点滴投与し,引き続き40週のオープンラベル期間が用意されている.27例についてprimary endpoint (ACR 50; 50%の臨床症状改善) は達成できなかったが,トシリズマブ群で63%であり,52週でのACR 50達成率は84.6%であった.また12週でのステロイド減量効果はプラゼボに比して有意であった.Wangらは,高用量のステロイド抵抗性AOSD 28症例に対して使用されたトシリズマブの治療成績を報告した.導入はMTX併用下にトシリズマブ8 mg/kgを4週ごとに点滴投与し,寛解達成後6カ月で同量を8週に1回に延長するプロトコールに沿って治療した.結果は,発熱,皮疹,関節痛は8週までに全症例で消失し,炎症反応などの検査値も治療開始2〜4週で有意に改善した.さらに,すべての症例が32週までに点滴間隔を8週間に延長し,ステロイドの減量が可能となった2).小児の全身型若年性特発性関節炎に対して保険適用もありセカンドライン治療薬として確立しているトシリズマブであるが,AOSDにおける治療薬としては承認から日が浅いため,ステロイドにて治療抵抗性の症例に用いることは決まっているとはいえ,いままでは保険適用外であっても必要性の高さから用いてきた免疫抑制薬をすべてトシリズマブによる治療に置き換えてよいのかなど,治療における位置づけは不明の点もあり,症例の蓄積とともに今後徐々に明らかにあるであろう.現状での考え方をフローチャートにしてまとめる (ⓔ図13-2-15).

 一方,ヨーロッパなどではIL–1β阻害薬 (アナキンラ,カナキヌマブ,rilonacept) が使用されることが多い.IL–1阻害薬 (アナキンラ (リコンビナントヒトIL–1 receptor antagonist),カナキヌマブ (抗IL–1抗体) は,EU圏内において副腎皮質ステロイド全身投与で効果不十分の活動性AOSDまたはsJIAに承認されている.Jungeらは,AOSDに対するIL–1阻害薬使用に関して,IL–1阻害薬ごとに文献的に検索し,それらの評価を行った3).それによれば,IL–1阻害薬は治療抵抗性AOSDに対してきわめて有効である.薬剤ごとにその有効性を以下に簡単にまとめる.作用時間の短いアナキンラにおいては,治療抵抗性AOSDに使用して寛解 (完全または部分を含む;以下同様) 率が70〜90%,ステロイド減量または中止率が70%程度であった.rilonacept (IL–1 trap分子) は,アナキンラに比して作用時間が長く,治療抵抗性のAOSDに使用した結果,寛解率は100%,ステロイド減量または中止率は76%であった.完全ヒト型抗IL–1β抗体であるカナキヌマブは,治療抵抗性AOSDに対して,寛解率は90%,ステロイド減量または中止率は100%であった.AOSDの稀少性ゆえ症例数が少ないこと (アナキンラ;134,rilonacept;11,カナキヌマブ;10),症例報告では有効な症例のみ報告されている可能性があることは差し引いても高い有用性を示している.わが国でもこれらの薬剤の承認に向けた動きが活発化していることから,今後使用が可能になると多くの患者にとって有益な可能性がある.

 さらに,AOSDにおいて著明高値が持続するIL–18阻害薬も検討されており,IL–18 binding protein (tadekinigα) に関しても,最近phase IIの前向き用量比較試験の結果が報告された.primary endpointを有害事象においたこのオープンラベル試験では,活動性のあるAOSD患者に対して,tadekinigα 80 mgまたは160 mgの皮下注射を週に3回12週間施行した.その結果安全性には大きな問題はなかった4).また,臨床所見および検査値において治療前に比して50%の改善が認められた.今後,有効性が明らかになることを期待したい.

〔三村俊英〕

■文献

  1. Kaneko Y, Kameda H, et al: Tocilizumab in patients with adult–onset Still’s disease refractory to glucocorticoid treatment: a randomised, double–blind, placebo–controlled phase III trial. Ann Rheum Dis, 2018; 77: 1720–1729.

  2. Wang CY, Gu SH, et al: Refractory adult–onset Still disease treated by tocilizumab combined with methotrexate: A STROBE–compliant article. Medicine, 2019; 98: 32e16682.

  3. Junge G, Mason J, et al: Adult onset Still’s disease–The evidence that anti–interleukin–1 treatment is effective and well–tolerated (a comprehensive literature review). Semin Arthritis Rheum, 2017; 47: 295–302.

  4. Gabay C, Fautrel B, et al: Open–label, multicentre, dose–escalating phase II clinical trial on the safety and efficacy of tadekinig alfa (IL–18BP) in adult–onset Still’s disease. Ann Rheum Dis, 2018; 77: 840–847.