ⓔコラム13-32-7 その他の治療

 いずれの病型にも適用されるものは,以下のような取り組みである.①患者に対して適切な喘息治療を行う1),②薬剤による喘息コントロール困難例は転職や配置転換により完全な抗原回避が必要である,③同一環境下の作業者のため職場の環境整備による原因物質の低減を図る,④職場全体の禁煙2)

 感作物質誘発職業性喘息の一部では通常の喘息治療に加えて抗原特異的免疫療法 (減感作療法) を考慮する.職業性喘息に限らず喘息患者の喫煙は,喘息のコントロールを悪化させるとともに,喘息治療薬の効果を減弱させるため,職場全体の禁煙が重要である.ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤 (オマリズマブ) の職業性喘息に対する効果に関しては,製パン業者の重症喘息症例や動物アレルギーを有する獣医の症例で有効と報告されている.ほかの抗体製剤の有効性に関しても今後エビデンスが蓄積されてくると思われるが,通常の喘息患者と同様に職業性喘息においてもその有用性が期待される2)

〔土橋邦生〕

■文献

  1. 喘息ガイドライン専門部会,日本アレルギー学会編:喘息予防・管理ガイドライン2018,協和企画,2018.

  2. 日本職業・環境アレルギー学会ガイドライン専門部会編:職業性アレルギー疾患診療ガイドライン2016,協和企画,2016.