ⓔコラム14-1-1 腎生検の歴史

 腎生検は,1944年,Nill Alwallによって初めて行われた.1948年にキューバのAntonio Parez–araが,1949年にデンマーク・コペンハーゲンのKommunehospitalet (Municipal Hospital) で活躍していたIversenとBrunが,それぞれ独立して腎生検を開始した.彼らの手技は患者を座位にして経皮的吸引腎生検針を行うものであった.現在の臥位によるスタイルを確立したのは,米国シカゴのUniversity of IllinoisのKark,Muehrcke,Pirani,Pollakらであった.彼らは,腹臥位のもとで,当時は腹部単純X線写真と排泄性腎盂造影写真を参考にして腎臓の位置を確認し,二叉針を外套針内に入れたVim–Silverman針 (Franklin型) で穿刺する方法にて成功している.わが国では,1954 (昭和29) 年,新潟大学第二内科の木下康民教授 (当時,桂内科の助教授) と腎グループがはじめて臨床応用に成功した.

〔乳原善文・西 慎一〕