ⓔコラム14-1-8 血液型不適合および免疫寛容を用いた腎移植

血液型不適合腎移植

 血液型不適合腎移植は,わが国では1989年に最初の症例が行われてすでに20年以上経過している.現在,日本全体で2000例を越える血液型不適合腎移植がすでに行われており,この数は世界で飛びぬけた症例数である.免疫抑制薬の進歩により血液型不適合腎移植であっても現時点では適合例と全く成績に差はみられていない.血液型不適合腎移植は献腎移植ドナーが少ないわが国でドナープールを拡大すべく発展を遂げた方法であり,現在世界中に広がりつつある.

免疫寛容を用いた腎移植

 腎移植において免疫抑制薬の使用は必須である,一方で強力な免疫抑制薬の長期間にわたる内服は感染症や悪性腫瘍の罹患率を上昇させることになる.近年,免疫寛容を誘導して免疫抑制薬投与を行わない腎移植が米国にて報告されている.免疫寛容とはある特定の抗原に対する免疫応答が低下している状態を指し,この場合ドナー抗原に対する免疫反応のみを抑制することである.方法はドナーの細胞をアフェレーシスにて回収したうえでさまざまな前処置 (放射線照射,各種抗体,抗癌薬投与) を行ったうえでドナー細胞を注入し,腎移植を行っている.これまで20例以上の症例がエントリーしているが,それらの症例の約60%で免疫抑制薬を完全に中止して経過観察を行っており,今後の経過に注目が集まると考える.

〔田邉一成〕