ⓔコラム14-2-1 eGFRと尿蛋白クレアチニン比

 CKDの概念の普及に際して,重要な役割を演じたのが推算糸球体濾過量 (estimated GFR: eGFR) である.CKDはまずGFRによって診断され,5つのステージに分類される.GFRの正確な測定にはイヌリンクリアランスによる煩雑な検査が必要であり,より簡便な代替法である内因性クレアチニンクリアランスの場合にも正確な蓄尿を要する.そこで血清クレアチニン値と年齢,性別から日本人のeGFRを算出するための式が決定された.

 eGFR [mL/分/1.73 m2]=

  194×SCr-1.094×年齢-0.287×0.739(女性の場合)

 血清クレアチニンは筋肉に由来するため,るいそうや四肢欠損などで筋肉量が少ないと見かけ上低値を示し,腎機能の指標としては不正確になる.その場合には,血清シスタチンC値を用いて算出する.

 eGFR [mL/分/1.73 m2]=

   (104×SCys-1.019×0.996年齢×0.929)-8 (女性の場合)

 このeGFRを用いることで,腎機能を定量的に把握できるようになり,またCKDの診断やステージ分類が臨床の現場で簡便に行えるようになり,その普及を加速することとなった.なお,eGFRは標準的な体表面積1.73 m2あたりに換算されており,小柄な高齢者などでは過剰評価となるため,実際の体表面積で補正する必要がある.

 またスポット尿を用いた蛋白尿の評価は,試験紙法を用いた定性的検査および呈色反応による定量的検査のいずれにおいても,尿の希釈・濃縮の影響を受けて変動が大きくなる.そこで従来から蛋白尿の評価には蓄尿中の24時間尿蛋白排泄量が用いられているが,近年は24時間尿蛋白排泄量[g/日]が尿蛋白/クレアチニン比[g/gCr]で代用されるようになってきた.これはスポット尿中の蛋白とクレアチニンの濃度比で,平均的な筋肉量の成人では尿中クレアチニン排泄量が1[g/日]となるため,この値がそのまま24時間尿蛋白排泄量に近似することを利用している.ただし,高齢者などで筋肉量が減っている場合に,尿蛋白/クレアチニン比では蛋白尿を過剰評価することに注意が必要となる.

〔岡田浩一〕