ⓔコラム15-2-1 Nelson症候群

 ACTH産生下垂体腺腫によるCushing病の治療法の第一選択は経蝶形骨洞的下垂体腺腫摘出術である.しかし,Cushing病の下垂体腺腫は微小なものが多く,下垂体画像診断が十分発達していなかった時代には,下垂体腺腫を同定できない例が多かった.その時代には,高コルチゾール血症改善のために,しばしば両側副腎摘出術が施行された.Cushing病の原因として,下垂体腺腫ではなく両側副腎過形成が原因と考えられた時代もあった.両側副腎の摘出後,高コルチゾール血症は改善するが,下垂体腺腫は経過とともに増大し,ACTHのさらなる過剰産生となり皮膚色素沈着が顕著となる例がある.このような症例を,1958年にNelsonらが報告した1).これを,Nelson症候群と呼ぶ.

〔沖 隆〕

■文献

  1. Nelson DH, Meakin J W, : ACTH–producting tumor of the pituitary gland. N Engl J Med, 1958; 259: 161–164.