ⓔコラム15-7-2 血中遊離メタネフリン,血中遊離メトキシチラミン測定の意義

 カテコールアミンはクロマフィン顆粒内では遊離型でも安定しているが,顆粒外では代謝酵素の作用をうけて速やかに代謝される.血中に放出されたアドレナリン,ノルアドレナリンも肝臓や腎臓のCOMTによって不活性なメチル体のメタネフリン,ノルメタネフリンへと変換される.さらにこれらの物質はフェノールスルホトランスフェラーゼにより硫酸抱合を受けて腎臓から排出される.ドパミンはCOMTによりメトキシチラミンに変換される.

 褐色細胞腫では膜結合型のCOMTが高発現するため,持続的に遊離型のアドレナリン,ノルアドレナリン,メトキシチラミンを産生することから血中遊離型メタネフリン,ノルメタネフリンの90%以上が腫瘍由来となる.この褐色細胞腫固有の変化を利用した血中遊離メタネフリン測定が欧米を中心に褐色細胞腫のスクリーニング検査として用いられている.蓄尿不要な利点を有する一方で,安静臥床,非ストレス下での採血を要する.遊離型メトキシチラミンの測定はドパミン産生あるいは悪性褐色細胞腫で有用との報告もあるが,日本人での検討は行われていない.

〔方波見卓行〕