ⓔコラム17-10-6 AML診療におけるクリニカルシークエンスの重要性

 網羅的遺伝子解析により,AMLの分子学的発症機構が明らかになるにつれ,AMLにおけるクリニカルシークエンスの重要性が認識されるようになっている.AMLにおいて遺伝子異常の解析を行うことは,診断,予後予測,治療選択,MRDモニタリングのそれぞれに重要な役割を果たす.

 診断においては,WHO分類では遺伝子異常で疾患を規定しており,疾患関連遺伝子変異を検査することができなければ一部の病型は診断ができない.ELN,NCCNガイドラインでは,遺伝子異常により疾患予後分類を定義しており,初診時に予後リスク評価を行うことで,同種造血細胞移植の必要性を評価し,疾患リスクに応じた治療戦略が可能となる.AML発症にかかわる多様な分子異常は,分子標的薬剤の標的となり,症例によって異なる遺伝子異常を診断することで,さらなる治療の層別化が可能となる.FLT3遺伝子変異を伴うAMLに対してFLT3阻害薬が承認され,さらに複数の分子標的治療薬が治験中である.検出された遺伝子異常は,AMLの疾患特異的マーカーとして微小残存病変 (MRD) モニタリングにも有用である.DNMT3A,ASXL1,TET2(DAT) 変異は,AML発症以前の早期に起きる変異であり,寛解中も変異クローンが検出され続けるためMRDマーカーとはならないが,DAT変異以外の変異は寛解中のクローン検出 (MRD残存) は,高い再発率に結びつく1).研究レベルで明らかとなったこれらの知見を,どのように実際の臨床に生かしていくかが,わが国における今後の課題である.

〔豊嶋崇徳〕

■文献

  1. Jongen–Lavrencic M, Grob T, et al: Molecular minimal residual disease in acute myeloid leukemia. N Engl J Med, 2018; 378: 1189–1199.