ⓔコラム18-11-7 スギヒラタケ中毒

 2004年秋,新潟,山形,秋田の3県を中心として,それまで食用キノコとして摂食されていたスギヒラタケとよばれるキノコを食べた慢性腎不全の患者の4%にあたる約50人に原因不明の脳症が発症し,うち17人が死亡する食中毒が発症した1).中毒者の平均年齢は73歳で,発症者は中高年に限られていた.摂取後発症までには数日~数週間 (平均約10日間) かかっており,発症時に嘔吐,下痢などの消化器症状はみられていない.初発症状は下肢の脱力感,軽度の見当識障害,換語困難などであり,ついで振戦,ミオクローヌス様の不随意運動が出現し,典型例ではさらに全般性強直間代性発作の重積状態にまで至った.画像では大脳基底核外側部と皮質と白質の境界部に点状の異常信号を認めた.半数は1週間ほどで後遺症なく回復したが,重症例は死に至り,致死率は30%に達した.血液透析は無効であった1).本症の病態についてはいまだに結論は得られておらず,原因物質も同定されておらず,2004年にアウトブレイクを生じた理由もよくわかっていない.

〔古谷博和〕

■文献

  1. 西澤正豊:キノコ.生物毒と神経,神経と環境中毒.Clin Neurosci, 2007; 25: 914–916.