ⓔコラム5-10-1 機能性食道疾患の鑑別

 機能性消化管障害の国際基準であるRome Ⅳ1)では,機能性食道疾患を,機能性胸痛,機能性胸やけ,逆流過敏症,機能性嚥下困難,球症状に分類しており,いずれも胃食道逆流症 (GERD) や器質性疾患の除外が前提となっている.そのため,高解像度内圧検査 (HRM) にて診断可能な一次性食道運動障害であるアカラシアやJackhammer食道,遠位食道痙攣,食道胃接合部通過障害などは器質性疾患に分類され,機能性食道疾患からは除外されている.しかし,実地臨床ではさまざまな疾患が症状の原因となりうるとともに,互いにオーバーラップする可能性もありこれらを明確に鑑別することは困難である.

〔春日井邦夫〕

■文献

  1. Aziz Q, Fass R, et al: Section II: FGIDs: Diagnostic Groups–Esophageal disorders. Gastroenterology, 2016; 150: 1368–1379.