ⓔコラム5-35-1 生理的な咳反射

 生理的な咳反射 (反射的咳嗽) は,気道上皮細胞間や上皮細胞下に存在する無髄知覚神経C線維の侵害受容体と太い気道の上皮下に存在する有髄神経Aδ線維の機械刺激感受性の咳受容体が刺激されて興奮が生じ,そのインパルスが迷走神経を介して延髄の孤束核の咳中枢に伝播され,そこから延髄腹側の呼吸中枢を介して,喉頭・肋間筋・横隔膜などに刺激が伝達されて,咳が発生する.この咳中枢・呼吸中枢と高位の大脳皮質・皮質下領域との間で相互の情報伝達経路が存在し,随意的咳嗽・咳衝動に伴う咳が生じると考えられている (図1).

 C線維には,カプサイシンやプロトンに反応するtransient receptor potential vanilloid 1 (TRPV1) やオゾンに反応するtransient receptor potential ankyrin 1 (TRPA1) などのイオンチャネルが発現しており,ブラジキニンを含む化学的刺激に感受性であるが,機械的刺激には非感受性である.一方,Aδ線維には,機械的刺激感受性の咳受容体が存在するが,肺外気道に分布し,TRPV1やTRPA1は発現しておらず,カプサイシンなど化学的刺激に非感受性である.

図1 咳嗽の反射経路と高位中枢との情報伝達経路 (Canning BJ, Chang AB, et al: Anatomy and Neurophysiology of cough. CHEST Guideline and Expert Panel report, Chest, 2014; 146:1633-1648より作成)..

〔大石展也〕

■文献

  1. 日本呼吸器学会咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019作成委員会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019.メディカルレビュー社,2019.

  2. Canning BJ, Chang AB, et al: Anatomy and neurophysiology of cough. CHEST Guideline and Expert Panel report. Chest, 2014; 146: 1633–1648.