ⓔコラム6-2-3 心停止後の院内治療の重要性

 国家レベルでの市民への心肺蘇生法の普及や病院前救急医療システムの改善による院外心停止患者の救命率や社会復帰率の向上に対する効果は証明されつつある.一方で,院内治療に関するデータは2010年以降相当量が報告されてきてはいるが,依然として各治療法の予後改善効果は十分に確立されていない.さらなる救命率,社会復帰率の改善のためには院内治療の質の向上が重要と考えられている.日本救急医学会では,心停止症例の蘇生にかかわるデータを収集し,客観的な検証を行うことにより,心停止症例の救命率を向上させることを目的として,多施設共同院外心停止レジストリを2014年にスタートさせた1).全国100以上の施設が参加しており,現時点で6万例をこえる症例が登録され,大規模な多施設コホートとなった.さまざまなテーマの研究が進行しており,今後多くのエビデンスが生まれることが期待されている.

〔髙橋智弘〕

■文献

  1. 日本救急医学会:JAAM多施設共同院外心停止レジストリ.http://www.jaamohca-web.com/.