ⓔコラム7-1-3 手指衛生およびそのタイミング1)

 手指衛生は,病院感染対策において最も基本的かつ重要な対策の1つであり,衛生的手指衛生ともよばれる.洗い残しなく,まんべんなく手指衛生を行うためには,流水と石けんでは30秒以上,アルコール性手指消毒薬では15秒以上が必要である.このため,肉眼的に汚れがある場合,血液や体液で汚染した場合,芽胞菌などのアルコールが有効ではない病原菌への曝露時には,流水と石けんによる手洗いを行い,それ以外の場面では,アルコール性手指消毒薬を用いることが推奨される.

 WHOは2009年に手指衛生のためのガイドラインを発表し,手指衛生の5つのタイミングについて提案した.医療現場において,①患者に触れる前 (手指を介して伝播する病原微生物から患者を守るため),②清潔・無菌操作の前 (患者の体内に微生物が侵入することを防ぐため),③血液や体液に曝露された可能性のある場合 (患者の病原微生物から自分自身と医療環境を守るため),④患者に触れた後 (患者の病原微生物から自分自身と医療環境を守るため),⑤患者周辺の物品に触れた後 (患者の病原微生物から自分自身と医療環境を守るため) の5つのタイミングで手指衛生を行うよう求めている.

〔飯沼由嗣〕

■文献

  1. WHO guidelines on hand hygiene in health care 2009. http://www.who.int/gpsc/5may/tools/9789241597906/en/