ⓔコラム7-10-6　ロタウイルス感染症の疫学

　ロタウイルス感染症は，以前は冬季の乳幼児下痢症の代表であった．少なくとも2015/16年シーズンからは，年明け頃から流行しはじめ，おおむね4月をピークとした，春先の感染性胃腸炎の様相を呈している (図1)．ノロウイルス感染症は年末を中心に長期に流行するが，ロタウイルス感染症は比較的限定された期間で流行する (図2)．検出されるウイルスは，国内ではほとんどがA群である (図3)．

図1　過去5年間における国内のロタウイルス感染症の発生状況 (日本小児救急医学会診療ガイドライン作成委員会編：小児胃腸炎診療ガイドライン2017年，日本小児救急医学会，2017)． 春先に流行することがわかる． 国立感染症研究所・感染症疫学センターHPから，利用規約に則り引用・作図．https://nesid4g.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data14j.pdf
図2　2018/19年シーズンにおけるロタウイルス・ノロウイルス感染症の流行状況 (Kawamura Y, Ohashi M, et al: Nationwide survey of rotavirus-associated encephalopathy and sudden unexpected death in Japan. Brain Dev, 2014; 36: 601–607)． small round structured virus (SRSV，おもにノロウイルス) と比較すると，短期間で流行が終息する． 国立感染症研究所・感染症疫学センターHPから，利用規約に則り引用・作図．https://nesid4g.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data9j.pdf
図3　2018/19年シーズンにおけるロタウイルスの群の内訳 (日本小児救急医学会診療ガイドライン作成委員会編：小児胃腸炎診療ガイドライン2017年，日本小児救急医学会，2017より作成)． ほとんどがA群である． 国立感染症研究所・感染症疫学センターホームページから，利用規約に則り引用・作図．https://nesid4g.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data13j.pdf

〔新庄正宜〕