ⓔコラム7-2-2 嘔吐下痢症と漢方薬

 嘔吐や下痢に対する治療に,漢方薬も用いられている.口渇 (こうかつ) があり,噴水様の嘔吐がある場合は五苓散 (ごれいさん) が使用される1).五苓散は,構成する猪苓 (ちょれい),茯苓 (ぶくりょう),蒼朮 (そうじゅつ),沢瀉 (たくしゃ) が体内の水分代謝異常を正常な水分の循環に戻し,桂皮 (けいひ) が抗炎症作用をもつ.特に五苓散は,細胞膜の水透過性に関係するアクアポリンを阻害することで,体内の水分代謝異常を調節する作用があり,嘔吐の症状を緩和する.

〔西 順一郎〕

■文献

三浦陽子,山岸由佳,他:感染性下痢症に対する漢方治療の効果に関する検討.産婦人科漢方研究のあゆみ,2011; 28: 102–104.