ⓔコラム8-14-1 全身性結合組織異常と遺伝子変異

 Marfan症候群はfibrillin1の病的変異で発症する全身性結合組織異常で,常染色体顕性 (優性) 遺伝を示す遺伝病である.fibrillin1は細胞外ミクロフィブリルの重要な構成成分の1つで,弾性線維とその他の結合組織の構造を維持する働きをもつ.細胞外マトリクスでfibrillin1が欠損するとトランスフォーミング増殖因子 (transforming growth factor: TGF)–βによる過剰なシグナル伝達が生じる.

 Loeys–Dietz症候群はTGF–β受容体1 (TGFRB1) とTGF–β受容体2 (TGFRB2 ) の遺伝子変異で起こる常染色体優性の全身性結合組織異常で,TGF–βシグナルの増強から胸部大動脈瘤をきたすことがある.

 血管型Ehlers–Danlos症候群はⅢ型コラーゲン (COL3A1) 遺伝子の変異が関係して,大血管のみならず,中小血管,消化管,子宮,肺などの内臓臓器の脆弱性をきたす.

 また,平滑筋特異的αアクチン (ACTA2),平滑筋特異的ミオシン重鎖11 (MYH11),ミオシン軽鎖キナーゼ (MYLK) をコードする遺伝子の変異およびTGFRB2とTGF–βシグナルの細胞内シグナル伝達にかかわる転写因子SMAD3遺伝子の変異が非症候性の家族性大動脈瘤で報告されている.

〔中岡良和〕