ⓔコラム8-4-5 大規模ゲノム解析とPRS

 このようなPRSを作成するために必要なものは,強固なエビデンスをもつゲノム研究,具体的には大規模なGWASであるが,遺伝的基盤は民族によって異なるため,例えば日本人のPRSを作成するためには日本人の大規模なGWAS研究の結果が必要になる1).前述のように大規模なGWAS研究は欧米でさかんに行われており,日本人を含む非欧米人の遺伝的エビデンスは乏しいといわざるをえない状況である.欧米人のゲノム解析の結果を非欧米人にも用いることができるが,遺伝的基盤の違いにより,その予測性能は低下する.そのため欧米人の豊富な情報をその他の民族の情報とさまざまな方法で足し合わせて,性能を向上させる試みがいくつか行われている.いずれにせよ,非欧米人の民族特異的な大規模ゲノム解析とそれに基づいたPRSの作成が待たれる.

〔伊藤 薫〕

■文献

  1. Martin AR, Kanai M, et al: Clinical use of current polygenic risk scores may exacerbate health disparities. Nat Genet, 2019; 51: 584–591.