ⓔコラム9-2-5 脈波解析・中心血圧

 中心血圧は,心臓など主要な臓器にかかる圧力であり,中心血圧を測定することが,動脈硬化や脳心血管病の指標値として最も理想的であると考えられる.中心血圧測定方法としては,大動脈内にカテーテルを挿入して直接測定する侵襲的測定法がある.しかしこの方法は被検者の身体侵襲も大きく,日常診療においては実用的でない.別法として,非侵襲的に測定した末梢動脈の脈波に基づいて中心血圧を推定する方法がある.カフを用いて上腕の血圧脈波を測定し,上腕の血圧脈波のパーカッションウェーブ (percussion wave) に続いて現れるタイダルウェーブ (tidal wave) を検出し,タイダルウェーブのレベルを中心血圧すなわち中心血圧の最大血圧値と考える (図1).

図1 中心血圧の推定. 末梢動脈脈波P1と大動脈脈波P2とを用いて中心血圧を推定する.まず,大動脈脈波P2のタイダルウェーブ (主ピーク) P2Xを検出する.次に,タイダルウェーブ (主ピーク) P2Xが検出された時点t1の末梢動脈脈波P1の振幅 (血圧に相当) を中心血圧と推定する.これにより中心血圧を知ることができる.

〔加藤 徹・野出孝一〕