ⓔコラム9-2-6 脳心血管病リスク

 高血圧診療では,患者の予後に影響する脳心血管病のリスク因子と臓器障害/脳心血管病の有無を評価することが重要である.JSH2019では,脳心血管病リスク評価のために,血圧レベルと脳心血管病既往,65歳以上,男性,喫煙,脂質異常症,糖尿病,脳出血,脳梗塞,心筋梗塞,非弁膜症性心房細動,蛋白尿を予後影響因子として採用し,リスク層別化を行っている (表1).リスクの第1層は血圧以外の予後影響因子がない場合,第2層は65歳以上,男性,喫煙,脂質異常症のいずれかがあるが,脳心血管病既往,非弁膜症性心房細動,糖尿病,蛋白尿を有するCKDのいずれもない場合,第3層は脳心血管病既往,非弁膜症性心房細動,糖尿病,蛋白尿を有するCKDのいずれかがある,または第2層の予後影響因子が3つ以上ある場合である.それぞれのリスク層において,診察室血圧の血圧分類を組み合わせて,脳心血管病の低リスク,中等リスク,高リスクの3群に分類する.

表1 診察室血圧に基づいた脳心血管病リスク層別化 (日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会:高血圧治療ガイドライン,ライフサイエンス出版,2019).

〔崎間 敦・大屋祐輔〕