ⓔノート11-1-10 ガストリン産生腫瘍

 Zollinger–Ellison症候群 (ガストリノーマ) は膵島や十二指腸に発生し,高ガストリン血症により胃酸分泌亢進,壁側細胞過形成,膵外分泌亢進が起こる.おもな症状は消化性潰瘍による出血・穿孔・狭窄と,脂肪便・低カリウム血症を伴う激しい下痢である.診断として空腹時の血中ガストリン高値 (500 pg/mL以上) に加え,CT,MRI,選択的動脈撮影,選択的動脈内セクレチン注入試験,ソマトスタチン受容体シンチグラムが有用である.50~80%が悪性で,発生形式は散発型と遺伝型に分かれる.遺伝型は多発性内分泌腫瘍症1型の部分症であることが多い.治療は手術摘除が第一選択である.約半数は発見時すでに転移陽性であり,根治切除は困難である場合が多い.

〔塩谷昭子〕