ⓔノート13-20-2 IgG4–RDと関連した自己抗体

 近年,IgG4–RDと関連した自己抗体の報告が相次いでいる1–5)(表1).Shiokawaらは,AIP患者から分離精製したIgG,またはIgGサブクラスを新生仔マウスに投与したところ,IgG1とIgG4により,膵では小葉間の浮腫性解離,壊死・出血,多形核白血球の浸潤,唾液腺では浮腫性変化を誘発されたことを報告し,AIP患者血清中に病原性を有するIgGが存在することを示した1).その後,対応抗原の1つとして基底膜を構成する三大成分の1つであるlaminin (LM–511) を報告した2).LM–511を抗原とした酵素抗体法により,抗LM–511抗体はAIP群51例中26例 (51%),コントロール群122例中2例 (1.6%) で陽性であり,しかも抗LM–511抗体陽性のAIPは陰性例と比較し,悪性腫瘍・アレルギー疾患の合併,膵頭部罹患が少ないという臨床的特徴を示した.病態機序の解明はもとより,AIPの疾患標識抗体として抗LM–511抗体の有用性が注目される.また,Hubersらはヒト胆管細胞溶解物を用いたイムノブロットにより,胆管炎合併IgG4–RD 50例中9例において56 kDaのサイズのペプチドに反応を認め,質量分析により対応抗原としてannexin A11 (ANX) を同定した3).同抗原は膵導管や胆管に発現しているものの,局在は核内であり,職業関連の環境因子 (軽油,有機溶剤など) への長期曝露が組織破壊,さらにANXの曝露により抗体産生を誘導し,病変の慢性化に寄与する可能性が推測された.

表1 IgG4関連疾患の自己抗体. IgG4関連疾患との関連性,あるいは病原性を有する自己抗体が報告されている.特にShiokawaらが報告した抗Laminin–511抗体は動物モデルで膵・唾液腺で病変を惹起しうること,自己免疫膵炎の約半数で陽性になることなど,病因として,また診断マーカーとして注目される.

〔髙橋裕樹〕

■文献

  1. Shiokawa M, Kodama Y, et al: Pathogenecity of IgG in patients with IgG4–related disease. Gut, 2016; 65: 1322–1332.

  2. Shiokawa M, Kodama Y, et al: Laminin 511 is a target antigen in autoimmune pancreatitis. Sci Transl Med, 2018; 10: eaaq0997.

  3. Hubers LM, Vos H, et al: Annexin A11 is targeted by IgG4 and IgG1 autoantibodies in IgG4–related disease. Gut, 2018; 67: 728–735.

  4. Du H, Shi L, et al: Prohibitin is involved in patients with IgG4 related disease. PLOS one, 2015; 10: e0125331.

  5. Perugino CA, AlSalem SB, et al: Identification of galectin–3 as an autoantigen in patients with IgG4–related disease. J Allergy Clin Immunol, 2019; 143: 736–745.