ⓔノート15-2-3 仮面尿崩症

 副腎不全のときに中枢性尿崩症の症状が発現せず,グルココルチコイドの補充を開始したときに,多尿が出現することが報告されている.ADH (antidiuretic hormone,抗利尿ホルモン) 作用がないときには水チャネル (AQP2) は細胞内顆粒上に分布するはずであるが,グルココルチコイドがない場合にADH作用がないにもかかわらず顆粒がtranslocateして水チャネルが尿細管側の細胞膜に移動し,水の再吸収を起こすようになるという機構などが推測されている.グルココルチコイドが補充されるとAQP2は細胞内顆粒上に戻り,自由水の再吸収は消失し多尿となる.

〔高野幸路〕