ⓔノート2-1-43 たこつぼ心筋症の病因

 たこつぼ心筋症の要因としては,①身体的・精神的ストレス,②交感神経系の過剰興奮によるカテコールアミン過剰放出,③エストロゲンの低下,④微小循環障害等が挙げられている.

 壁運動異常は,心基部の収縮に比べ左心室心尖部の収縮が弱く,左心室造影で”たこつぼ”のように見えるので,この名前がついている.この壁運動障害は,多くは約1カ月程度で回復し一過性である.しかし,重篤な心不全や不整脈から死に至るケースもある.わが国のこれまでの大震災後も,多くの死亡例が報告されている.また,これまで死因が急性心筋梗塞とされたなかにも,本疾患が含まれていると考えられる1)

〔小井土雄一〕

■文献

  1. Watanabe H, Kodama M, et al: Impact of earthquakes on takotsubo cardiomyopathy. JAMA, 2005; 294: 305–307.