ⓔノート7-2-2 無症候性感染患者

 無症候性感染の場合,医療機関を受診するきっかけが失われることから,診断と治療を受けることがなく無治療のまま感染源となる可能性がある.このような一部の性感染症の特徴から,感染の制御が困難となっている.妊婦を対象にした研究では,Chlamydia trachomatisがPCR検査により陽性であったのは,19歳で15.9%,20~24歳で7.5%,25~29歳で2.3%,30~34歳で1.2%であり,全体で2.3%であった.つまり,妊婦健診によってはじめて診断された頻度がこの程度あったということになる.性器クラミジア感染症の場合には,妊婦健診が貴重な検査の機会となるが,男性ではこのような機会はない.性的パートナーの女性が性器クラミジア感染症と診断された場合の無症候の男性では,3割程度でC. trachomatisが陽性と診断されることが示されており,無症候性ながら感染している男性も少なからず存在していると考えられる.

〔髙橋 聡〕