ⓔ図16-4-2 TGに富んだリポ蛋白の血管内でのTG水解 (Dallinga–Thie GM, Franssen R, et al: Atherosclerosis, 2010; 211: 1–8より作図) 近年,TG水解に重要な酵素であるLPLに関連する分子が明らかにされてきた.LMF1 (lipase maturation factor 1) は細胞内の小胞体に存在する酵素で,LPLが正常に機能するための立体構造をとるのに必須の蛋白である.ちなみに,LPLはダイマーで作用する.LPLは細胞 (脂肪細胞,筋細胞) から分泌されてヘパラン硫酸プロテオグリカン (主としてシンデカン1) に結合して存在するが,内皮細胞の下層 (subendothelium) においてGPIHBP1に結合し,その後内皮細胞内を通過して (transcytosis) 血管腔側に運搬される.そしてGPIHBP1に結合した状態でTGに富んだリポ蛋白内のTGを水解すると考えられている.LMF1やGPIHBP1の異常により,原発性Ⅰ型脂質異常症を呈する症例が報告されている.
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