ⓔ図17-3-9 肝臓の鉄代謝調節機構 肝臓は,ヘプシジンを産生するとともに,余剰の鉄をフェリチンとして貯蔵する鉄代謝の中心臓器である.ヘプシジンの産生は,非実質細胞が感知した鉄によりBMP6がつくられ,BMP6は肝細胞表面の一連の膜蛋白質であるBMPと結合し,ヘモジュベリン (HJV),HFE,トランスフェリン受容体2 (TFR2) などと複合体を形成して,そのシグナルはSMAD1/5/8およびSMAD4を介してヘプシジンの転写が増強される.また,IL–6やTNFなどの炎症性サイトカインもヘプシジンの転写を増強する.さらに,血液中のトランスフェリン鉄も肝細胞表面のトランスフェリン受容体1および2を介してSMAシグナルを活性化してヘプシジンの転写を増強する.肝細胞への鉄の取り込みは,DMT1とトランスフェリン受容体1が関与し,取り込まれた鉄は,ミトコンドリアや細胞内代謝に利用される一方,余剰な鉄はフェリチンとして貯蔵される.フェリチン蛋白の合成は,肝細胞内鉄が増加するとIRPを介して合成が亢進し,細胞内余剰鉄の貯蔵に働く.
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