ⓔ図17-7-7 ヒストンアセチル化 DNAは核内でコア・ヒストンの周囲を1.75周巻いた形で存在し,ヌクレアソーム・コアを形成する.ヌクレアソーム・コアは数珠状につながりヌクレオソームとなり,リンカー・ヒストンや非ヒストン蛋白と結合してクロマチン構造を形成する.クロマチン構造は遺伝子発現の調節に重要な働きをしている.特に,コア・ヒストンのN末端領域はアセチル化,メチル化,リン酸化,ユビキチン化などの修飾を受け,遺伝子発現の調節機構に関与している.なかでも,ヒストンN末領域のリジン残基のアセチル化はDNAとヒストンの結合をゆるめ,転写因子の結合と活性化を導く.一方,ヒストンの脱アセチル化は,DNAの結合を強くし,転写因子の結合と転写活性を抑制する.ヒストン脱アセチル化酵素はヒストンN末のリジン残基のアセチル化を解除することにより転写抑制を導くため,その阻害薬は転写活性を回復させる作用を有する. Ac:アセチル基,HDAC:ヒストン脱アセチル化酵素,HDACI:ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬,HAT:ヒストンアセチル化酵素.
[拡大]