現代数学の源流 (上) ―複素関数論と複素整数論―

佐武 一郎(著)

佐武 一郎(著)

定価 5,060 円(本体 4,600 円+税)

A5判/232ページ
刊行日:2007年02月20日
ISBN:978-4-254-11117-0 C3041

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内容紹介

現代数学に多大な影響を与えた19世紀後半~20世紀前半の数学の歴史を,複素数を手がかりに概観。〔内容〕複素数前史/複素関数論/解析的延長:ガンマ関数とゼータ関数/代数的整数論への道/付記:ベルヌーイ多項式,ディリクレ指標他。

編集部から

 佐武先生(1927年生まれ)は,代数幾何やリー群の分野において世界的に著名な数学者。「佐武─Baily─Borelのコンパクト化」「佐武図形」「佐武同型」「佐武pパラメータ」「久賀─佐武の多様体」など多大な業績を挙げている。
 若干35歳で東京大学教授に就任するも,翌年は渡米してシカゴ大学(63─68),カリフォルニア大学バークレー校(68─83)で教鞭をとり,以後,日本へ戻って東北大学(80─91),中央大学(91─98)において引き続き教育と研究にあたられた。現在はフリーの立場におられるが,バークレーや中大等に名誉教授室があって,定期的に日米を往復する生活を送っている(バークレーの同じ階には,これも著名な小林昭七先生がおられ,立ち話をすることもしばしば,とのこと。小林先生には進行中の『19世紀の数学(全3巻)』のご監訳をお願いしている)。
 先生の謦咳に接し,執筆をお願いすることができたのは全くの僥倖で,偶然,中大の若い同僚の方からご紹介いただいたことによる。
 先生は,昨年3月に第2回日本数学会出版賞を受賞された。受賞対象は『線型代数学』(裳華房)というテキストで,初版は1958年ながらいまだに定本として新たな読者を獲得していることが評価された。
 しかしながら,ビッグネームにもかかわらず,上記も含めて著書4冊(うち欧文1冊)という寡作タイプのため,密かに最新作を待望する向きが多かったようだ。献本先からは「佐武先生の本が読めるとは」と驚きとも感激ともつかぬコメントを多く頂戴した。
 下巻では局面の概念から代数関数論までを取り扱う予定で,完結すれば数学史の標準的な文献の1つになることは間違いないと思われる。(三尾)

目次

1. 複素数前史
 1.1 複素数の誕生
 1.2 2次方程式から3次方程式へ
 1.3 3次方程式の解法とその謎
 1.4 オイラーの関係式
 1.5 オイラーの『無限解析入門』(1748)
 1.6 代数学の基本定理

2. 複素関数論
 2.1 複素解析関数(正則関数)の概念
 2.2 正則関数の例
 2.3 複素関数としての指数関数,三角関数
 2.4 複素平面上の線積分
 2.5 コーシーの積分定理(ストークスの定理)
 2.6 コーシーの積分公式
 2.7 ローラン展開,留数定理

3.解析的延長,ガンマ関数とゼータ関数
 3.1 解析的延長の原理
 3.2 例 : 対数関数,ベキ関数など
 3.3 ガンマ関数
 3.4 ゼータ関数とベルヌーイ数
 3.5 リーマンの1859年論文
 3.6 ゼータ関数の関数等式
 3.7 第2,第3 の証明,素数定理とリーマン予想
付記
 3A ベルヌーイ多項式
 3B フルヴィッツのゼータ関数
 3C ディリクレ級数の収束

4.代数的整数論への道
 4.1 ガウスの整数
 4.2 素数の素元分解
 4.3 Ziのゼータ関数
 4.4 代数体の整数論
 4.5 デデキントのイデアル論
 4.6 イデアル類群と単数群
 4.7 デデキントのゼータ関数
付記
 4A ディリクレ指標
 4B ガウス和と拡張されたベルヌーイ多項式
 4C ディリクレのL関数

問題解答
 第1章の問題解答
 第2章の問題解答
 第3章の問題解答
 第4章の問題解答

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