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気象学ライブラリー 1 気象防災の知識と実践
牧原 康隆(著)
内容紹介
気象予報の専門家に必須の防災知識を解説。〔内容〕気象防災の課題と気象の専門アドバイザーの役割/現象と災害を知る/災害をもたらす現象の観測/予報技術の最前線/警報・注意報・情報の制度と精度を知る/他
編集部から
○シリーズ発刊にあたって
編集委員 新田 尚・中澤哲夫・斉藤和雄
近年,気象災害が毎年のように発生し各地に大きな被害をもたらしており,また地球温暖化をはじめとする気候変動への関心も高まっている。気象は生活との関わりが深い現象であるが,学問としての気象学は,地球全体を取り巻く大気の大循環から雲の中で起きるミクロの現象までさまざまなレンジの幅広い分野に渡っている。本シリーズは,気象学における個別のテーマを学ぶための専門書ライブラリーとして企画されたもので, 災害をもたらす個別の気象現象やデータ同化等についての学問的解説および気象防災のための実践的知識について,各分野の第一線で活躍する著者が最新の情報を盛り込んで記述している。学問的解説は気象学についてひと通り学んだ読者を対象とし,学生が専門分野を選択する際や,研究者が隣接分野について学ぶために利用できるものを目指して編集されている。いわゆる入門書ではないが,防災など実生活に利用される分野では,自治体の担当者や一般市民の方々にも読んでいただける豊富でわかりやすい情報を提供している。
◎シリーズ続刊予定
*タイトルは変更される可能性がございます。
『日本の降雪-雲物理過程と豪雪のメカニズム』
村上正隆(名古屋大学)著
『竜巻のメカニズム-発生から構造・被害まで』
新野 宏(東京大学名誉教授)著
『気象学におけるデータ同化入門』
三好建正(理化学研究所)著
『集中豪雨のメカニズム』
加藤輝之(気象大学校)著
『雷の発生メカニズム』
河崎善一郎(大阪大学名誉教授)著
目次
CHAPTER 1 気象防災の課題と気象の専門アドバイザーの役割
1.1 気象情報の充実・高度化とその功罪
1.2 なぜ多くの気象情報が提供されているのか
1.3 防災対策支援のための気象予報活用モデル事業
1.3.1 モデル事業の概要
1.3.2 モデル事業の成果
1.4 気象の専門アドバイザーに求められる技術
1.5 気象情報のさらなる活用の例
1.6 地方自治体における気象の専門アドバイザーの役割
CHAPTER 2 現象と災害を知る
2.1 現象のスケール
2.2 大雨と災害
2.2.1 台 風
2.2.2 集中豪雨と人参状雲
2.2.3 土砂災害
2.2.4 洪水・浸水
2.3 暴 雨
2.4 大 雪
2.5 高 潮
CHAPTER 3 災害をもたらす現象の観測
3.1 気象衛星による台風・集中豪雨・大雪の観測
3.2 気象レーダーによる台風・突風の観測
3.3 アメダスによる台風・大雨の観測
3.4 ウィンドプロファイラによる前線の観測
CHAPTER 4 予報技術の最前線
4.1 はじめに
4.2 台風予報
4.2.1 台風の概要と防災上の特徴
4.2.2 台風情報の種類
4.2.3 台風進路予報の精度
4.2.4 予報円
4.2.5 暴風域に入る確率
4.3 ガイダンスと大雨・暴風予報
4.3.1 ガイダンスの概要
4.3.2 風ガイダンスの特徴
4.3.3 降水量ガイダンスの特徴
4.4 高潮予報
4.4.1 高潮による過去の被害と高潮予報の概要
4.4.2 気象庁の現業用高潮数値予測モデルの概要
4.4.3 伊勢湾台風に伴う高潮のシミュレーション
4.5 竜巻発生確度ナウキャストと竜巻注意情報
4.5.1 竜巻発生確度ナウキャストのアルゴリズムの概要
4.5.2 竜巻が発生しやすい大気環境と突風関連指数
4.5.3 竜巻注意情報の精度
4.6 解析雨量
4.6.1 解析雨量の概要
4.6.2 解析雨量の作成手順
4.6.3 解析雨量の精度と利用上の注意
4.7 降水短時間予報と今後の雨
4.7.1 降水短時間予報アルゴリズムの概要と特徴
4.7.2 降水域の移動予測
4.7.3 降水の発達・衰弱
4.7.4 マージ処理
4.7.5 降水短時間予報の精度
4.8 降水ナウキャスト
4.9 土壌雨量指数
4.9.1 土壌災害の種類と土壌雨量指数の適用範囲
4.9.2 タンクモデルの貯留高と土砂災害との関係
4.9.3 タンクモデルの精度
4.9.4 土壌雨量指数の免疫性と履歴順位
4.9.5 土砂災害警戒情報と土砂災害警戒判定メッシュ情報
4.10 流域雨量指数
4.10.1 3種類の水害とその予測
4.10.2 処理の手順
4.10.3 流域雨量指数の解析値と水位データ
4.10.4 流域雨量指数の予想値の精度とリードタイム
4.11 表面雨量指数
4.11.1 浸水害に適合する下流平均勾配
4.11.2 勾配および都市化率の違いに適応した指数
4.11.3 流出量の算出手順
4.11.4 表面雨量指数の精度
CHAPTER 5 警報・注意報・情報の制度と精度を知る
5.1 警報・注意報・情報とその制度上の位置付け
5.1.1 警報・注意報・情報の制度としての概要
5.1.2 氾濫警戒情報と土砂災害警戒情報
5.1.3 警報と注意報のリードタイム
5.1.4 情報のリードタイム
5.2 市町村警報
5.2.1 基準の設定の方法
5.2.2 基準の精度
5.2.3 具体的な警報発表の方法
5.3 特別警報
5.3.1 特別警報の概要
5.3.2 発表の基準と発表のタイミング
5.3.3 特別警報の契機となった2011年の大雨災害
5.4 気象業務法と災害対策基本法・地域防災計画
5.5 避難行動と避難情報・防災気象情報を結び付ける「警戒レベル」
5.5.1 概 要
5.5.2 今後の課題
5.6 警報を利用する際の留意事項
5.6.1 災害のおそれのレベル
5.6.2 警報の限界
CHAPTER 6 自治体への気象の専門アドバイザーに期待されること
6.1 事前準備を必要とするアドバイス
6.1.1 過去事例とその再来等に関する事前準備
6.1.2 気象資料活用のための事前準備
6.1.3 地域防災計画修正のアドバイス
6.1.4 日常の普及活動
6.2 災害のおそれが高い場合の具体的アドバイス
6.2.1 災害発生までの複数シナリオ
6.2.2 正しく怖がらせる
CHAPTER 7 自治体へアドバイスするなかでの緊張感(「おわり」に代えて)
索 引
執筆者紹介
【編集】
新田 尚
中澤 哲夫
斉藤 和雄
【著者】
牧原 康隆(気象業務支援センター)