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内容紹介
モータを中心とする電気機器は今や日常生活に欠かせない。本書は,必ずしも電気機器を専門的に学んでいない人でも,モータを選んで活用する立場になった時,基本技術と周辺技術の全貌と基礎を理解できるように解説。〔内容〕基礎編:モータの基礎知識/電機制御系の基礎/基本的なモータ/小型モータ/特殊モータ/交流可変速駆動/機械的負荷の特性。応用編:交通・電気鉄道/産業ドライブシステム/産業エレクトロニクス/家庭電器・AV・OA/電動機設計支援ツール/他。
編集部から
モータは私たちの日常生活に欠かせない存在である。鉄道,自動車などの大きなものから,家電製品,IT機器の小さいものまで幅広く使われている反面,大学電気系の講義で従来から「電気機器学」と称され体系づけられてきた学問が,今や必修科目としての位置づけがあやうくなっていると聞く。モータを含め,いわゆる強電部門や三相交流をきちんと教える大学が激減し,したがって,交流モータの説明を極めて初歩的なところから始めねばならないとのこと。本書は,電気を学んだが電気機器を学んでいない人が,モータをうまく選んで活用する立場になったときに,パワーエレクトニクスや機器の制御までの周辺技術を含めて広く理解できることを主眼においてまとめた。
モータの中心は,大容量から中・小容量に移り,適用範囲は省エネが意識されてから拡大されてきた。産業界ではモータの設計,電機メーカー,機械メーカー,家電メーカー,自動車関連メーカーなど直接モータを扱う例が増加し,設計手法の変化も著しく,コンピュータに触れる設計者が増加するも,基本的な電磁気現象を理解できる力が強く求められている。
さらに,モータ単体の知識だけでは役に立たず,電源,機械系,制御手法,デジタル技術,電磁ノイズ,振動・熱問題などの総合的な理解とセンスが要求されている。従来,機械があり,モータがあり,両者は全く別々に開発され,しかし,最終的に必要な特性を具現化するために,これらの狭間を生かせるための制御技術が使われていたが,個別の技術の貼り合わせではうまくいかず,「連成問題」として捉える認識が強まっている。
総合技術化してきているモータ。それゆえ関連必要知識は極めて広範に及ぶこととなった。本書がその一助となることを願っている。(星)
目次
[基 礎 編]
1.モータの基礎知識
1.1 磁気学の基礎
1.2 三相交流と回転磁界
1.3 電気・機械アナロジー
1.4 回転座標変換
1.5 電磁材料
1.6 騒音,振動,熱設計
1.7 機器容量と機器体格
2.電機制御系の基礎
2.1 電源・モータ・機械負荷
2.2 パワーエレクトロニクスの基礎(直流チョッパ・インバータ)
2.3 センサ
2.4 定格と運転限界
2.5 基本的なシステム構造
3.基本的なモータ
3.1 直流機
3.2 同期機
3.3 誘導機
4.小形モータ
4.1 永久磁石直流機
4.2 永久磁石同期モータ
4.3 リラクタンスモータ
4.4 ステッピングモータ
4.5 バーニアモータ
5.特殊モータ
5.1 アクチュエータ一般(油圧、空圧、電動)
5.2 電磁アクチュエータ
5.3 超音波モータ
5.4 ダイレクトドライブ(DD)モータ
5.5 ギヤードモータ
5.6 その他の特殊モータ
5.7 磁気軸受およびベアリングモータ
6.交流可変速駆動
6.1 V/f制御とすべり周波数制御
6.2 誘導モータのベクトル制御
6.3 同期モータのベクトル制御
6.4 誘導電動機の速度センサレス制御
6.5 永久磁石同期電動機の位置センサレス制御
7.機械的負荷の特性
7.1 負荷のトルク-速度特性
7.2 始動が困難な負荷
7.3 負になることがある負荷と制動法
7.4 要求される速応性・制御速度
7.5 非線形性の取り扱い
7.6 軸ねじれ振動抑制制御
[応 用 編]
8.交通・電気鉄道
8.1 交通の概要
8.2 鉄 道
8.3 電気鉄道の駆動とブレーキ
8.4 電源とエネルギー特性
8.5 各種の新しい交通システム
8.6 エレベータ
8.7 エスカレータ・動く歩道等
8.8 リニアモータの応用
8.9 磁気浮上
9.産業ドライブシステム
9.1 汎用ドライブ
9.2 工作機械
9.3 鉄鋼プラントの概要
9.4 電気自動車
9.5 ポンプ,ファン,コンプレッサ
10.産業用エレクトロニクス
10.1 産業用エレクトロニクスの概要
10.2 物流システム
10.3 産業用ロボット
11.家庭電器・AV・OA
11.1 ルームエアコン
11.2 冷蔵庫
11.3 洗濯機
11.4 掃除機
11.5 AV・OA機器
12.カタログの見本と主な用語
12.1 電動機の関連規格
12.2 電動機選択方法
12.3 電動機データの見方
13.計算機による援用設計
13.1 計算機援用設計の目的
13.2 数値解析法
索 引
執筆者紹介
【執筆者】
松井信行,森本茂雄,齋藤真,望月資康,石橋文徳,雨森史郎,武田洋次,西方正司,諸岡泰男,斎藤涼夫,海田英俊,澤孝一郎,荒隆裕,坪井和男,中山征夫,本田幸夫,小坂卓,百目鬼英雄,鹿山透,草加浩平,水野勉,前野隆司,山口義治,林英俊,穴澤義久,千葉明,三木一郎,中野孝良,久保田寿夫,近藤圭一郎,曽根悟,島田明,大石潔,堀洋一,持永芳文,水間毅,阿部茂,宮武昌史,澤田一夫,小黒龍一,由良元澄,橋爪健次,飛世正博,田島文男,下尾茂敏,大前力,大崎博之,榊原伸介,大山和伸,浜岡孝二,谷本茂也,小原木春雄,松浦貞裕,森本雅之,大立泰治