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朝倉心理学講座 18 犯罪心理学
内容紹介
犯罪をめぐる人間行動について科学的に検証する犯罪心理学の最新成果を紹介。〔内容〕犯罪原因論/犯罪環境心理学/捜査心理学/プロファイリング/目撃証言と取調べ/ポリグラフ検査/非行犯罪臨床心理学/被害者心理学
編集部から
編者の越智先生は,「エビデンスベースの研究に基づいた犯罪心理学の初めてのテキストである」と高らかに謳われています(「まえがき」より).わかりやすくいえば,「証拠とデータに基づく」ということです.
常人には理解しがたい犯罪が頻発するなか,世間での犯罪心理学への関心や期待が高まっているせいでしょう,刊行される書籍も少なくないようです.しかし,「犯罪心理」というと,とかく,犯罪者の動機を天才的な刑事がさぐるというものが想像されがちですが,それはフィクションの世界の話です.そうしたお話を期待した人には物足りないのかもしれませんが,本書をお読みいただければ,地道な証拠の積み重ねこそがスリリングな営みであることが理解してもらえると思いますし,「現場百回」ということばにもあるように,犯罪捜査は常にそのようなものです.
また,「犯罪心理学」の守備範囲は,犯罪者に限られている訳ではありません.目次を見ていただければわかりますように,犯罪が行われる環境,目撃者,取調室,被害者の心のケアにいたるまで実に幅広いことがうかがえます.犯罪というと,どこか特異な現象のように思えますが,意外に,われわれの日常生活と地続き事柄なのです.
そういえば,明智小五郎もシャーロック・ホームズも,日常生活での地道な観察から,天才的なひらめきを得ていたのではないでしょうか? そんな現代のホームズたちの活動をご覧下さい.
目次
1. 犯罪心理学の対象とその展望
1.1 犯罪心理学のイメージと実際
1.2 犯罪心理学の対象と研究範囲
1.3 犯罪心埋学の展望
2. 犯罪原因論
2.1 犯罪の原因
2.2 生物学的要因
2.3 精神障害の要因
2.4 性格などの要囚
2.5 精神的外傷体験などの要因
2.6 家庭の要因
2.7 社会の要因
2.8 社会心理学的原因論
3. 犯罪環境心理学
3.1 歴史と研究アプローチ
3.2 CPTEDとDefensible Spaace Theory
3.3 クライムマップ・ルーティンアクテイビティ理論・ホットスポット
3.4 犯罪不安と割れ窓理論
3.5 地理的プロファイリングとサークル仮説
4. 捜査心理学
4.1 捜査心理学の概要
4.2 捜査活動における捜査心理学の位置づけ
4.3 犯罪者行動に関する叫般的モデル 58
4.4 犯罪者行動モデルの現実データへの当てはめ
4.5 捜査心理学の展望と課題
5. 犯罪者プロファイリング
5.1 犯罪者プロファイリングの定義
5.2 犯罪者プロファイリング研究の発展
5.3 臨床的プロファイリング
5.4 統計的プロファイリング
5.5 推論過程についての研究
5.6 今後の展望
6. 目撃証言と取調べ
6・1 目撃証言とその変容
6.2 子どもの目撃証言
6.3 面割り,モンタージュ写真,似顔絵
6.4 取調ベ
7. ポリグラフ検査
7.1 ポリグラフ検査の歴史
7.2 検査装置と測定指標
7.3 二つの検査方法:GKTとCQT
7.4 犯罪捜査への応用
7.5 GKTの検出理論こ関する研究
7.6 新しい生埋指標と分析方法
7.7 今後の展望
8. 非行犯罪臨床心理学
8.1 非行・犯罪とは
8.2 非行・犯罪にかかわる機関と人々
8.3 非行犯罪心理臨床の特質
8.4 被害経験の視点から
8.5 発達障害の祝点から
8.6 注目される今後の動向
9. 被害者心理学
9.1 犯罪被害によるPTSD
9.2 被害者の遺族の心理
9.3 ストレスの生理学的モデル
9.4 トラウマのケア
9.5 トラウマに関する研究の歴史
9.6 被害者学とPTSDが成立した時代
9.7 日本の被害者支援制度の概要
事項索引
人名索引
執筆者紹介
【編集者】越智啓太
【執筆者(執筆順)】越智啓太,水田恵三,羽生和紀,横田賀英子,渡邉和美,平 伸二,田中奈緒子,藤田悟郎