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瀕死の統計学を救え! ―有意性検定から「仮説が正しい確率」へ―
豊田 秀樹(著)
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内容紹介
米国統計学会をはじめ科学界で有意性検定の放棄が謳われるいま,統計的結論はいかに語られるべきか?初学者歓迎の軽妙な議論を通じて有意性検定の考え方とp値の問題点を解説,「仮説が正しい確率」に基づく明快な結論の示し方を提示。
編集部から
2020/2/10
【プロローグ】公開しました.下の目次よりご覧ください.
[カバー序文]
2019年3月,統計学に関する2つの衝撃的な論文が公刊されました.
1つはアメリカ統計学会監修 The American Statistician の「21世紀の統計的推論:“p < 0.05”を超えて」です.本論の章タイトルは,Don't Say “Statistically Significant” であり,命令形ではっきりと有意性検定を禁止しています.これ以上 p 値を使い続けるということは,最大手の製造元メーカーがリコールし,乗車を禁止している車に乗るのといっしょです.
もう1つは,権威ある科学雑誌 Nature の「統計的有意性を引退させよう」です.このコメント論文には800人以上の科学者が賛成の署名をしており,「統計的有意性の概念全体を放棄するように求める」と主張しています.今後も p 値を教え続けるということは,最大手の消費者団体が乗車を控えるようにと呼び掛けている車に乗れ,と言うのと同じです.
それでもあなたは p 値を使い続けますか?
まだ有意性検定を教え続けますか?
〇パーソナリティ心理学会のサイトにて書評が公開されました。(2020年8月1日)
目次
プロローグ(※立ち読みできます)
第I部 瀕死の統計学
1. 「統計的に有意」は必要条件にしか過ぎない
-学述的価値に連動しない査読の基準-
1.1 予知能力の存在が示された!?
1.2 検定の目的
1.3 検定の手続き
1.4 「未来の予感」の検定結果
1.5 「念力実験」をしてみよう
1.6 まとめ
〇コラム:米国統計学会の声明
2. 神の見えざる手
-有意でも無意味な論文で学術誌は満載される-
2.1 ダイエット法に効果はあるか-統計学用語速習-
2.2 対応ある2群の平均値差の検定
2.3 統計的に有意でも科学的に無意味
2.4 帰無仮説は科学的には偽
2.5 医師国家試験に出題されたp値
2.6 p値は確率なのに抽象的
2.7 神の見えざる手
2.8 まとめ
3. 前門の虎・後門の狼-nは,根拠を示して予め定めねばならない-
3.1 抗菌薬Aの治療効果
3.2 独立した2群の平均値差の検定
3.3 判断に伴う2種類の誤り
3.4 帰無仮説は採用できない
3.5 前門の虎,後門の狼
3.6 検定力分析
3.7 検定力分析の欠点
3.8 まとめ
〇コラム:多重性問題
4. ゾンビ問題
-「事前に決めた」という事実を,事後,永久に保証するのか-
4.1 毎回,検定する
4.2 標本分布は証拠が残らない意図に依拠する
4.3 有意性検定のゾンビ問題
4.4 信頼区間は有意性検定を救わない
4.5 事前登録制度
4.6 まとめ
幕間:第I部で明らかになった問題点
第II部 統計学を救え!
5. ベイズの定理・「研究仮説が正しい確率」
-比率の推測を例に-
5.1 迷惑メールである確率
5.2 分布に関するベイズの定理
5.3 尤度原理
5.4 「未来の予感」の母比率の推測
5.5 まとめ
6. 結論の言葉に真心を込めて
-独立した2群の差の推測を例に-
6.1 独立した2群の差の推測
6.2 ゾンビとの決別
6.3 事前分布
6.4 独立した2群の差の推測
6.5 生成量
6.6 母平均の差の事後分布
6.7 標準化された平均値差
6.8 非重複度
6.9 閾上率
6.10 比の推測
幕間:解決された第I部の問題点
第III部 教育そして悪意
7. セリグマンの犬
-対応ある2群の差の推測を例に-
7.1 ダイエット問題再び
7.2 尤度モデリング
7.3 phcは分析結果の意味を実感できる
7.4 phc曲線の性質
7.5 これからの統計教育
8. 改ざんと隠ぺい
-黒洞洞たる闇の広がり-
8.1 改ざん
8.2 隠ぺい
8.3 ハーキングと隠ぺい
8.4 事前登録制度の再考
8.5 瀕死の統計学を救え!
Q & A