生体内移動論

Fournier, R. L.(著)/酒井 清孝(監訳)

Fournier, R. L.(著)/酒井 清孝(監訳)

定価 16,500 円(本体 15,000 円+税)

A5判/756ページ
刊行日:2021年07月05日
ISBN:978-4-254-25043-5 C3058

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内容紹介

定評ある“Basic Transport Phenomena in Biomedical Engineering”第4版の翻訳。医工学で重要な生体内での移動現象を,具体例を用いて基礎から丁寧に解説。〔内容〕熱力学/体液の物性/物質移動/酸素の移動/薬物動態/体外装置/組織工学と再生医療/人工臓器/

編集部から

日本語版限定の付録として,章末問題の全解答を掲載しています。
独習にも最適の一冊です。

目次

1章 序論
 1. 1 単位と次元の復習
  1. 1. 1 単位
  1. 1. 2 基本次元
  1. 1. 3 派生単位
 1. 2 次元式
 1. 3 質量保存則
  1. 3. 1 保存則
  1. 3. 2 化学反応
  1. 3. 3 化学反応の進行度
  1. 3. 4 物質収支
 1. 4 工学的な問題を解くためのコツ
 1. 5 役に立つ数値解析
問題

2章 熱力学の概念
 2. 1 熱力学の第1法則(エネルギー保存則)
  2. 1. 1 閉鎖系
  2. 1. 2 定常流のプロセス
 2. 2 熱力学の第2法則
  2. 2. 1 可逆プロセス
 2. 3 熱力学特性
  2. 3. 1 熱容量
  2. 3. 2 エントロピー変化の計算
  2. 3. 3 ギブズとヘルムホルツの自由エネルギー
 2. 4 基本特性の関係
  2. 4. 1 完全微分
 2. 5 単一相開放系
  2. 5. 1 部分モル特性
  2. 5. 2 純粋成分のフガシティ
  2. 5. 3 混合物中成分のフガシティ
  2. 5. 4 理想溶液
 2. 6 相平衡
  2. 6. 1 純粋成分の相平衡
  2. 6. 2 過剰特性
  2. 6. 3 平衡熱力学の適用
問題

3章 体液と細胞膜の物理的特性
 3. 1 体液
 3. 2 体液の組成
 3. 3 毛細血管血漿タンパク質の阻止
 3. 4 浸透圧
  3. 4. 1 モル浸透圧濃度
  3. 4. 2 浸透圧の計算
  3. 4. 3 浸透圧に影響する他の因子
 3. 5 膜濾過
  3. 5. 1 水力学的コンダクタンスの予測
 3. 6 毛細血管の濾過流量
  3. 6. 1 毛細血管濾過流量と毛細血管血流量の比較
 3. 7 リンパ系
 3. 8 毛細血管内皮細胞を横切る物質移動
 3. 9 細胞膜
  3. 9. 1 活動電位
 3. 10 細胞内非平衡状態を維持するイオンポンプ
問題

4章 血液とその他の流体の物性および流動特性
 4. 1 血液の物性
 4. 2 細胞成分
 4. 3 レオロジー
 4. 4 毛細管粘度計と管内の層流流れ
  4. 4. 1 直円管中のニュートン流体の層流流れに対するハーゲン-ポアズイユの式
  4. 4. 2 非円形断面直管内のニュートン流体層流流れに対するハーゲン-ポアズイユの式
 4. 5 直円管内の非ニュートン流体の流れに対するラビノビッチの式
 4. 6 流れについてのその他の有用な関係式
 4. 7 血液のレオロジーとキャッソン式
  4. 7. 1 キャッソン式
  4. 7. 2 キャッソン式の利用
  4. 7. 3 毛細管内を流れるキャッソン流体の速度分布
  4. 7. 4 低ずり速度での管内の血流
 4. 8 高ずり速度における管径の影響
  4. 8. 1 ファーレウス効果
  4. 8. 2 ファーレウス-リンドクヴィスト効果
  4. 8. 3 マージナル・ゾーン理論
 4. 9 境界層理論
  4. 9. 1 動き出す壁付近での流れ
  4. 9. 2 平板に沿った流体の層流流れ
 4. 10 一般化した力学的エネルギー収支式
  4. 10. 1 相当直径
 4. 11 毛管上昇と毛細管現象
  4. 11. 1 平衡毛管上昇
  4. 11. 2 毛細管現象の動力学
問題

5章 物質移動の基礎
 5. 1 物質移動の表現法
 5. 2 物質移動における重要な定義
  5. 2. 1 2 成分系拡散
  5. 2. 2 フィックの第1 法則
  5. 2. 3 フィックの第1 法則の簡易化
  5. 2. 4 拡散の問題における境界条件
 5. 3 拡散係数の推算
  5. 3. 1 ストークス-アインシュタインの式
 5. 4 フィックの第2法則
 5. 5 フィックの第2法則に対するいくつかの解
  5. 5. 1 平板から流れのない半無限媒体中への拡散における濃度分布
  5. 5. 2 平板源から無限媒体中に起こる拡散における濃度分布の解
  5. 5. 3 点源から無限媒体中に生じる拡散における濃度分布の解
 5. 6 物質移動係数
  5. 6. 1 シャーウッド数
 5. 7 平面から流れのない半無限の媒体中への拡散
  5. 7. 1 境膜理論
 5. 8 球の表面から動きのない無限媒体中への物質移動
  5. 8. 1 球体表面と流れている流体間における物質移動
 5. 9 対流および拡散による物質移動
  5. 9. 1 流下する液膜中へ気体が拡散する場合の物質移動:短時間接触の場合の解
  5. 9. 2 回転円盤からの物質移動
  5. 9. 3 平板上の層流境界層中の物質移動
  5. 9. 4 円管内層流中における管壁と流体間での物質移動
 5. 10 円管壁と流体間における物質移動の一般解
  5. 10. 1 対数平均濃度差の導出
  5. 10. 2 断面が任意の図形の管内での物質移動
 5. 11 物質移動係数の有用な相関式のまとめ
  5. 11. 1 直円管内の未発達の層流における物質移動
問題

6章 不均質材料における物質移動
 6. 1 不均質媒体内部での物質移動
  6. 1. 1 薄い多孔質膜を横断する物質移動
  6. 1. 2 多孔性高分子材料内部からの溶質拡散
  6. 1. 3 血液および組織における拡散
  6. 1. 4 ゲル膜を横切る物質移動
 6. 2 膜輸送における不可逆過程の熱力学
  6. 2. 1 L_P, P_m, σの算出
  6. 2. 2 多成分膜移動
  6. 2. 3 膜ペクレ数
 6. 3 毛細血管壁を横切る濾過と拡散による物質移動
 6. 4 毛細血管と周辺組織との間の物質移動
  6. 4. 1 クロー組織円筒
  6. 4. 2 クローの組織円筒モデル
  6. 4. 3 レンキン-クローンの式
  6. 4. 4 血管群での物質移動:よく混合されているという仮定
 6. 5 膜を横切る濾過流による物質移動
  6. 5. 1 濾過を伴うときの中空糸内を流れる溶液本体の流れの変化
  6. 5. 2 濾過を伴う中空糸における流動流体中溶質濃度の変化を立式
問題

7章 生体内における酸素移動
 7. 1 多細胞系における酸素の拡散
  7. 1. 1 酸素分圧(pO_2)とヘンリー定数
  7. 1. 2 球状の細胞集合体への酸素移動
 7. 2 ヘモグロビン
 7. 3 酸素-ヘモグロビン解離曲線
 7. 4 血液中に存在する酸素の量
 7. 5 ヒルの式
 7. 6 酸素-ヘモグロビン解離曲線に影響するその他の因子
 7. 7 組織の酸素化
  7. 7. 1 通常の組織酸素消費速度
  7. 7. 2 組織の酸素必要量に対応した静脈血のpO_2の計算
 7. 8 血液酸素化装置(人工肺),バイオ人工臓器,および組織工学的構成物における酸素移動
  7. 8. 1 血液酸素化装置(人工肺)における酸素の物質収支
  7. 8. 2 平面バイオ人工臓器における酸素移動
  7. 8. 3 平面的な組織工学的構造物における酸素移動
 7. 9 灌流バイオリアクタ内の酸素移動
  7. 9. 1 平面状細胞層における酸素の対流移動と拡散移動のモデル
  7. 9. 2 マイクロチャネル灌流バイオリアクタ
 7. 10 クローの円筒組織における酸素移動
  7. 10. 1 毛細血管内の酸素化ヘモグロビンの物質収支
  7. 10. 2 毛細血管内の結合していない酸素の物質収支
  7. 10. 3 組織における酸素の物質収支
 7. 11 クローの円筒組織における酸素移動の近似解
 7. 12 人工血液
問題

8章 薬物移動論
 8. 1 専門用語
 8. 2 薬の投与経路
 8. 3 薬物移動モデルによるアプローチ
  8. 3. 1 コンパートメントモデル
  8. 3. 2 生理学的モデル
  8. 3. 3 モデルに依存しないモデル
 8. 4 薬物分布に影響する因子
  8. 4. 1 薬物の分布容積
  8. 4. 2 見かけ分布容積
  8. 4. 3 みかけ分布容積のOie-Tozerの式
  8. 4. 4 薬物代謝
  8. 4. 5 薬物の腎排泄
 8. 5 薬物クリアランス
  8. 5. 1 腎クリアランス
  8. 5. 2 血漿クリアランス
  8. 5. 3 生物学的半減期
  8. 5. 4 薬物血中濃度-時間曲線下面積AUC^0→∞
  8. 5. 5 尿中の薬物蓄積
 8. 6 薬物の静脈内注射モデル
 8. 7 薬物の持続注入
  8. 7. 1 薬物制御放出への浸透圧ポンプの応用
  8. 7. 2 経皮吸収パッチからの薬物放出制御
  8. 7. 3 植込み型デバイスからの薬物放出制御
 8. 8 1次薬物吸収と1次薬物排泄
 8. 9 ツインコンパートメントモデル
  8. 9. 1 静脈注射のツインコンパートメントモデル
  8. 9. 2 1 次吸収のツインコンパートメントモデル
  8. 9. 3 経皮吸収パッチからの薬物吸収のツインコンパートメントモデル
  8. 9. 4 植え込み型徐放デバイスからの薬物吸収のツインコンパートメントモデル
 8. 10 重ね合わせの原理
問題

9章 体外循環治療装置
 9. 1 応用
 9. 2 接触様式
 9. 3 体外循環治療装置における物質移動
  9. 3. 1 物質移動係数の算出
  9. 3. 2 血液中の溶質拡散係数の算出
 9. 4 血液透析
  9. 4. 1 背景
  9. 4. 2 透析液組成
  9. 4. 3 濾過の役割
  9. 4. 4 クリアランスとダイアリザンス
  9. 4. 5 物質移動
  9. 4. 6 尿素透析のシングルコンパートメントモデル
  9. 4. 7 腹膜透析
  9. 4. 8 アクアフェレシス
 9. 5 人工肺(血液酸素化装置)
  9. 5. 1 背景
  9. 5. 2 血液酸素化装置の操作特性
  9. 5. 3 人工肺の型
  9. 5. 4 膜型人工肺の解析:酸素移動
  9. 5. 5 膜型人工肺の解析:二酸化炭素移動
  9. 5. 6 膜型人工肺の計算例
 9. 6 固定化酵素反応器
  9. 6. 1 背景
  9. 6. 2 固定化酵素の医学応用の例
  9. 6. 3 酵素反応速度
  9. 6. 4 固定化酵素システムにおける反応と拡散
  9. 6. 5 固定化酵素の反応拡散モデルを解く
  9. 6. 6 1 次反応の特別な例
  9. 6. 7 反応速度の実測値
  9. 6. 8 外部境膜物質移動抵抗
  9. 6. 9 反応器設計式
 9. 7 アフィニティ吸着
  9. 7. 1 既存自然抗体のアフィニティ吸着
  9. 7. 2 既存自然抗体のアフィニティ吸着システムの解析
問題

10章 生体組織工学および再生医療
 10. 1 はじめに
 10. 2 背景
  10. 2. 1 生体組織工学・再生医療(TERM)のための細胞
  10. 2. 2 生体組織工学のプロセス
 10. 3 細胞外マトリックス
  10. 3. 1 グリコサミノグリカン
  10. 3. 2 コラーゲン
  10. 3. 3 エラスチン
  10. 3. 4 フィブロネクチン
  10. 3. 5 アグレカン
  10. 3. 6 基底膜
 10. 4 細胞が関与する相互作用
  10. 4. 1 カドヘリン
  10. 4. 2 セレクチン
  10. 4. 3 細胞間接着分子
  10. 4. 4 インテグリン
  10. 4. 5 サイトカインと増殖因子
 10. 5 生体組織工学における支持構造
  10. 5. 1 バイオマテリアル
  10. 5. 2 ポリマ製足場の作製法
 10. 6 生体適合性と移植片に対する初期の生体反応
  10. 6. 1 移植片に対する生体の応答
 10. 7 足場を用いた細胞移植
 10. 8 生体組織工学のためのバイオリアクタ設計
問題

11章 バイオ人工臓器
 11. 1 背景
 11. 2 免疫学
  11. 2. 1 Bリンパ球
  11. 2. 2 抗体
  11. 2. 3 Tリンパ球
  11. 2. 4 APCs,B細胞,およびT細胞間の相互作用
  11. 2. 5 免疫系と移植細胞
 11. 3 免疫隔離
 11. 4 免疫隔離膜の透過性
 11. 5 膜のシャーウッド数
 11. 6 バイオ人工臓器の例
  11. 6. 1 バイオ人工膵臓
  11. 6. 2 必要な膵島の数
  11. 6. 3 膵島インスリン放出モデル
  11. 6. 4 グルコースとインスリンの相互作用の薬物移動現象モデル
  11. 6. 5 バイオ人工膵臓の性能を評価するための薬物移動現象モデル
 11. 7 バイオ人工肝臓
  11. 7. 1 人工肝臓システム
  11. 7. 2 バイオ人工肝臓
  11. 7. 3 体外循環バイオ人工肝臓の例
 11. 8 バイオ人工腎臓
 11. 9 バイオ人工臓器の設計における留意点
問題

解答
文献
索引

執筆者紹介

■原著者■
Ronald L. Fournier
オハイオ州トリード大学生物工学科教授。30年以上にわたり生物化学工学,反応工学,医用化学工学における移動現象,設計および起業,生物力学,人工臓器の内容を含む広範な化学工学と生物工学の教育に携わる。また,バイオ人工臓器,組織工学,バイオリアクタ,レーザ光による薬剤活性化がん治療,薬物動態まで広い分野にまたがる研究を行っている。

■監訳者■
酒井清孝(さかい きよたか)
1941年,東京都に生まれる。1970年に早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻博士課程を修了後,早稲田大学理工学術院教授を経て,現在,早稲田大学名誉教授。瑞宝中綬章受章(令和3年春)

■翻訳者■ ※担当順
宮坂武寛(みやさか たけひろ) 湘南工科大学工学部
酒井崇匡(さかい たかまさ) 東京大学大学院工学系研究科
﨑山亮一(さきやま りょういち) 大阪工業大学工学部
望月精一(もちづき せいいち) 川崎医療福祉大学医療技術学部
山下明泰(やました あきひろ) 法政大学生命科学部
福田誠(ふくだ まこと) 近畿大学生物理工学部
酒井宏水(さかい ひろみ) 奈良県立医科大学医学部
長瀬健一(ながせ けんいち) 慶應義塾大学薬学部
堀内孝(ほりうち たかし) 東都大学幕張ヒューマンケア学部/三重大学名誉教授
酒井康行(さかい やすゆき) 東京大学大学院工学系研究科
井嶋博之(いじま ひろゆき) 九州大学大学院工学研究院

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