BOOK SEARCH
朝倉心理学講座 11 文化心理学
内容紹介
文化と,行為や認知の形成(発達)との関係についての心理学的アプローチの考察。〔内容〕起源と潮流/〈I文化心理学の理論と実践〉ヴィゴツキー理論,状況論的アプローチ他/〈II隣接領域からの示唆〉認知科学,エスノメソドロジー他。
編集部から
◎本文訂正のお知らせ
読者の方より,本書につきまして以下のようなご指摘をいただきました。ちょうど文意が逆になります。次回増刷時に修正いたしますが,お詫びと共に一足先にお知らせ申し上げます。(2020.3.5)
(第2章 ヴィゴツキー発達理論と社会文化的アプローチ)
・44頁 上から13行目
「り,他方,後者のモノローグ的形式は後から・・・」
=>「り,他方,後者のモノローグ的形式は後から・・・」
・49頁 上から9行目
「ることは間違いだろう。しかし・・・・」
=>「ることは間違いないだろう。しかし・・・・」
目次
0. 文化心理学の起源と潮流
0.1 文化心理学とは何か
0.2 文化心理学の理論的基盤
0.3 文化心理学の今後のあり方をめぐって
0.4 実践現場を科学する:二つの心理学の統合に向けて
第1部 文化を解明する:文化心理学の理論と実践
1. ヴィゴツキー理論の可能性と実践の文化人類学
1.1 ヴィゴツキー理論の「強度」
1.2 ヴィゴツキー理論の概要
1.3 文化人類学との接点
1.4 土壌としてのマルクス
1.5 「自民族中心主義」の問題
1.6 おわりに:「自由な行為」の可能性をめぐって
2. ヴィゴツキー発達理論と社会文化的アプローチ――ワーチの研究
2.1 社会文化的アプローチと道具に媒介された行為
2.2 行為論と道具に媒介された行為
2.3 道具箱のアナロジーと道具の文化誌
2.4 人間精神の社会発生的起源と相互作用,対話
2.5 文化のなかでのアプロプリエーション
2.6 分析のユニットと意識論:多様性と矛盾がもつ可能性
3. 文化に対する社会歴史的発達論の視角と課題
3.1 社会的組織化秩序としての文化
3.2 社会的に組織された実践
3.3 社会的実践の探究としての人間の発達研究
3.4 社会歴史的アプローチからみた文化心理学の課題
4. 活動の心理学――歴史と未来
4.1 活動の概念
4.2 活動理論の成立
4.3 活動研究の現在および今後
5. ドキュメントのデザイン――状況論的アプローチ
5.1 ドキュメントが埋め込まれているネットワーク
5.2 インスクリプションが埋め込まれている実践
5.3 関係の表現としてのドキュメント
5.4 可視化とネットワークのデザイン
5.5 相互のアクセスのためのウェブのデザイン
5.6 結 論
6. 文化的認知論――ブルーナー派のアプローチ
6.1 主体的な働きとしての「認知」へ
6.2 言語習得と文化
6.3 新たなニュールック心理学へ
6.4 語りと文化と自己
6.5 比較文化から文化心理学へ
6.6 「生」の意味を求めて
7. 生物学的側面と文化的側面の統合――トマセロらのアプローチ
7.1 ヒトの文化とヒト以外の文化
7.2 認知発達の生物学的側面
7.3 認知発達の文化的側面
7.4 トマセロの論考
7.5 ヒト以外の霊長類における心の進化
8. 社会心理学的アプローチ
8.1 文化心理学と比較文化心理学
8.2 相互依存的自己-独立的自己
8.3 「集団主義-個人主義」概念の歴史的文脈
8.4 「集団主義-個人主義」概念の理論的定位と近未来
第2部 隣接領域からの示唆
9. 認知科学と文化心理学――なぜ認知をサイコロジカル(個人内)ではなくソーシャル(個人間)とみるのか
9.1 犬の犬らしさ
9.2 本質のありか:中央から関係へ
9.3 社会文化との不可分性:Natural is cultural
9.4 人間の本性:Psychological is cultural
9.5 状況的認知:皮膚の内側から,外側との協同へ
9.6 心理学における「観測問題」:デザインされる現実
10. 心の社会論理――エスノメソドロジー的相互行為分析
10.1 心の社会論理
10.2 相互行為分析の完結性
10.3 心の相互行為分析
10.4 心の現場
11. 日本語教育における「文化」解釈の現状と展望
11.1 「文化」という共通認識
11.2 日本語教育におけるコミュニケーション能力育成への流れ
11.3 実体としての「文化」観:戦後から1980年代まで
11.4 認識としての「文化」観:1990年代からの議論
11.5 「文化」は実体か認識か:「個の文化」への視点
11.6 思考と表現のプロセスの実現へ:教育実践活動としての「文化リテラシー」
11.7 「言語学習環境論」としての言語活動空間の設計へ
事項索引
人名索引
執筆者紹介
【執筆者一覧】
田島信元,高木光太郎,佐藤公治,石黒広昭,茂呂雄二,上野直樹,野々山正章,真行寺由郎,岩田純一,板倉昭二,杉万俊夫,有元典文,西阪仰,細川英雄,
(執筆順)