化学特許の理論と実際

佐伯 とも子吉住 和之(著)

佐伯 とも子吉住 和之(著)

定価 3,520 円(本体 3,200 円+税)

A5判/180ページ
刊行日:2006年05月08日
ISBN:978-4-254-55001-6 C3032

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内容紹介

化学領域における特許制度の特殊性,特許成立要件と明細書の書き方の特徴について基礎から詳説。化学系の研究者必読。〔内容〕特許法概説/化学物質発明の特許成立要件/用途発明の特許成立要件/化学物質発明の明細書/用途発明の明細書

編集部から

数年前に大きな盛り上がりを見せた「知的財産」熱も落ち着いてきた感があります。Amazon社などのビジネスモデル特許や青色LED職務発明への莫大な対価など,ずいぶんと話題をよびました。しかしこれらの影響はせいぜい一企業の浮沈を左右するものでしかありません。
 工業製品が数百・数千の特許の組み合わせ方を競う交響曲だとすれば,医薬品はたった1つの特許された化学物質(=有効成分)で勝負する独唱曲のようなものです。新薬を開発してヒットさせれば1物質で世界市場を席巻できるわけで,当然,特許管理は企業の生命線であり,その重要性はきわめて高いといえます。本書は主としてこういった分野の研究者・特許管理者・弁理士らに向けて,有効な特許取得の指針を示そうとするものです。
 製薬会社の新薬開発には15年の歳月と200億円の資金がかかるなどといわれています。有用な化学物質を開発することがいかに困難であるかわかります。そしてこの数年間で,国内製薬会社各社の主力級化学物質特許が続々と切れ,また切れつつあります。
 特許の切れた化学物質で類似薬剤を作れば莫大な開発経費と長期にわたる安全性試験を省略でき,低コスト=安価な薬剤を作ることができます。これがいわゆるジェネリック医薬品で,医療費引き下げの切り札と期待されています。それはたいへん結構ですが,そうした薄利指向は製薬会社から新薬開発の意欲と体力を奪いつつあるようです。
 化学特許の知識の普及と効率的な出願の増大に国民健康の将来が掛かっていると,そんな気持ちで作った本です。 (川口)

目次

1. 知的財産とその法的保護  〔佐伯とも子〕
1.1 知的財産の特徴
1.2 知的財産の種類
1.3 知的財産権の法的保護
1.4 知的財産保護の概要
2. 特許権の取得と行使  〔佐伯とも子〕
2.1 特許出願の手続き
2.2 審査請求の手続き
2.3 中間手続き
2.4 査   定
2.5 特 許 権
2.6 国際出願
2.7 期間延長出願
3. 化学物質と化学物質に関する情報  〔吉住和之〕
3.1 化学物質
3.2 化学物質に関する情報
4. 化学物質発明の特許の要件  〔吉住和之〕
4.1 化学物質発明の成立性
4.2 産業上利用することができる化学物質発明
4.3 特許を受けることができない化学物質発明
4.4 新規性・進歩性
4.5 先   願
5. 用途発明の特許の要件  〔吉住和之〕
5.1 用途発明の成立性,用途発明の範囲
5.2 産業上利用することができる用途発明
5.3 特許を受けることができない用途発明
5.4 新規性・進歩性
5.5 先   願
6. 化学物質発明の明細書・特許請求の範囲の記載  〔吉住和之〕
6.1 意義と共通原則
6.2 特許請求の範囲の記載
6.3 発明の詳細な説明の記載
6.4 化学物質発明の単一性
7. 用途発明の明細書・特許請求の範囲の記載  〔吉住和之〕
7.1 意義と共通原則
7.2 特許請求の範囲の記載
7.3 発明の詳細な説明の記載
7.4 用途発明の単一性
索   引

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