ランドスケープエコロジー

武内 和彦(著)

武内 和彦(著)

定価 4,620 円(本体 4,200 円+税)

A5判/260ページ
刊行日:2006年10月25日
ISBN:978-4-254-18027-5 C3040

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内容紹介

農村計画学会賞受賞作『地域の生態学』の改訂版。〔内容〕生態学的地域区分と地域環境システム/人間による地域環境の変化/地球規模の土地荒廃とその防止策/里山と農村生態系の保全/都市と国土の生態系再生/保全・開発生態学と環境計画。

編集部から

 本書は1991年10月に刊行された『地域の生態学』(ここ数年品切れ状態)の改訂版です。旧版は「私にとって初めての単著であり,いまでも特別な,思い入れ深い一冊であ」り,1995年度の農村計画学会賞を受けた“名著”です。その後,東大出版会,岩波書店で次々と単著・共著・共編著を刊行しますが,その原点は旧版に凝縮されている,というのが小生の観方です。
 15年振りの改訂に当り,書名も一新。以前から意図していた『ランドスケープエコロジー』をすっきりと謳いました。「旧版のいくつかの事例を削除し,東南アジア,日本列島,東京大都市圏などで行った研究事例を用いて大幅に加筆した」。ただ,「旧版で主張した「地域の生態学」の思想と方法は,基本的には今日でも通用すると確信している」。そう,それこそが“名著”たる所以なのです。
 地理学=全体像の理解,緑地学=生態学的な環境の保全,生態学=生態系を支える要因の説明,の三位一体的統合が見事に結実しているのが旧版と改訂版の要諦です。バックグラウンドは武内先生のキャリアにあり。東大で,学部は地理学,修士は緑地学をおさめ,都立大地理の助手を経て,東大農学部の助教授に至る(この時代に小生は出会っている。著者は若かったし,研究時間も沢山あった!)。この履歴をフル活用した結果が「ランドスケープエコロジー」なのです。
 改訂版には〈サステイナビリティ学〉が登場します。2005年8月に東大にサステイナビリティ学連携研究機構が設立され,京大・阪大・北大・茨城大などの日本の大学・研究機関と連携して,世界的なネットワーク型研究拠点の形成を目指しているのですが,武内先生はその副機構長を併任。次なる改訂のキーワードはこの辺にありそうです。
 著者との縁で,カヴァーと表紙のデザインは杉浦康平+佐藤篤司さんが担ってくださりました。(川端)

目次

第1章 ランドスケープエコロジーとは何か
 1.1 ランドスケープとランドスケープエコロジー
 1.2 生態系とランドスケープ
 1.3 ランドスケープエコロジーの発展
 1.4 ランドスケープエコロジーにおける時空間のとらえ方
 1.5 人間の役割と環境変化の見方
第2章 生態学的地域区分と地域環境システム
 2.1 ランドスケープの全体像をどうとらえるか
 2.2 ランドスケープの概念と地域区分
 2.3 自然地域における機能的関係
 2.4 湿潤熱帯低地における地形・土壌カテナ
 2.5 ミクロな地域環境システム
第3章 人間による地域環境の変化
 3.1 オーストラリアの自然と人間
 3.2 サバンナ地帯の人間活動と植生変化
 3.3 小笠原における島嶼生態系の人為的変革
 3.4 沖縄島の土地改変と環境変化
 3.5 東京大都市圏の地形立地と土地利用変化
第4章 地球規模の土地荒廃とその防止策
 4.1 砂漠化と土地荒廃
 4.2 アフリカの砂漠化とその防止策
 4.3 北東アジアの砂漠化とその防止策
 4.4 乾燥地緑化と土地利用システムの再編
 4.5 アグロフォレストリーと持続的土地利用システムの確立
第5章 里山と農村生態系の保全
 5.1 里山のランドスケープエコロジー
 5.2 日本の二次的自然と二次林の役割
 5.3 野生果樹自生地の植生変化と植生管理
 5.4 農村地域の振興と環境保全
 5.5 地域生態系とビオトープの保全
第6章 都市と国土の生態系再生
 6.1 生態都市としての江戸
 6.2 都市における農と緑
 6.3 自然と文化に立脚した都市持続性の構築
 6.4 大都市圏の自然環境を再生する構図
 6.5 持続可能で多様性に富む国土の保全と創造
第7章 保全・開発生態学と環境計画
 7.1 自然と人工環境の生態学
 7.2 非意図的な環境変化の制御
 7.3 総合開発と環境保全
 7.4 風土を読むランドスケープデザイン
 7.5 アジア型都市の発想を求めて

旧版おわりに
改訂版おわりに
初出誌一覧
引用文献
索引

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