乱流の科学 ―構造と制御―

日野 幹雄(著)

日野 幹雄(著)

定価 28,600 円(本体 26,000 円+税)

A5判/1152ページ
刊行日:2020年04月15日
ISBN:978-4-254-20161-1 C3050

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内容紹介

乱流の作用は運動量・物質・熱などの拡散,混合とエネルギーの消散である。乱流なくして我々は呼吸もできない。乱流状態がいかにして発生し作用するか,その基礎的メカニズムを詳細にかつできるだけ数式を使わずに解説した珠玉の解説書。

編集部から

【想定読者】
河川,大気,風,海洋,自動車・航空機・船舶,化学工学,生命(血流,植物など)関連を学ぶ大学院生,学部学生,研究者。関連する産業の技術者。

◎書評が掲載されました
日本流体力学会誌「ながれ」(2020年第6号)に書評を掲載していただきました.
「本書は…(中略)…乱流の,特にその秩序構造にフォーカスを当てた,1000ページを超える大著である.このような大著を独力で執筆された著者の乱流に対する情熱は計り知れない.
 …(中略)…本書の中で,乱流研究を登山に見立てた「ナビエ-ストークス山」の登攀ルートの漫画が紹介されている.実験,数値シミュレーション,数理科学などの「登攀ルート」の難易度や難所,予想到達高度(=レイノルズ数)について,1977年当初の…(中略)…予想は大きく外れ,現在は全く違った景色が見えることを著者は指摘している.別な見方として,研究者による不断の努力により登山道が整備されたという解釈はどうであろうか.数値シミュレーション山は造成により年々その頂が高くなっており(到達高度はある程度予想されてはいるものの),AIによる人工的な山も新たに造られつつある.本書は現代(2019年)のNS山登山マップであり,その頂を目指す人々が,現代の最高到達点まで安全に登りつめるための助けとなるであろう.」
(東京工業大学・稲垣厚至先生)

目次

1.乱流研究小史
 1.1 流れと渦       
 1.2 レイノルズの実験―乱流の発見―    
 1.3 19世紀末から20世紀初めにかけての新しい科学の胎動
 1.4 20世紀に入って          
 1.5 テイラーの一様等方性乱流の統計理論
 1.6 コルモゴロフの局所等方性の理論
 1.7 乱流が秩序構造をもつことの発見と認識
 1.8 コンピュータ時代
 1.9 乱流の制御
 1.10 乱流研究の発展史
 参考文献

 
2.乱流構造の解析手法
 2.1 統計処理―スペクトルと相関―
 2.2 乱流運動の検出法
 2.3 統計的乱流構造抽出法
 2.4 速度勾配テンソル―渦の同定,検出法の数学的準備―  
 2.5 種々の渦同定,抽出法  
 2.6 種々の渦判定法間の関係
 2.7 渦シートの抽出法
 2.8 種々の渦同定法の比較  
 2.9 流れ場のパターン(流れのトポロジー)と速度勾配テンソル
 2.10 乱流の計算と計測
 参考文献   

3.安定と遷移
 3.1 はじめに―粘性流れの不安定,遷移の研究―             
 3.2 平板に沿って発達する境界層の安定,遷移問題
 3.3 平行平板間のポアズイユ流とクエット流および円管流れの安定,遷移問題
 3.4 円管路流の遷移過程               
 3.5 平行平板間の流れの遷移過程     
 3.6 境界層流とポワズイユ・クエット流の乱流斑点  
 3.7 固有値解析の限界―モード解析と非モード解析―
 3.8 遷移過程における乱流化最適擾乱解
 3.9 定常クエット流の3次元秩序構造の厳密解―乱流の秩序構造の祖型―
 3.10 絶対不安定と対流不安定
 3.11 円柱および角柱・平板の後流の安定問題―カルマン渦列―
 参考文献

4.一様等方性乱流
 4.1 リチャードソンの渦の詩とコルモゴロフの-5/3乗則    
 4.2 一様等方性乱流の直接シミュレーション      
 4.3 乱流諸量の定義   
 4.4 一様等方性乱流のエネルギー・スペクトル     
 4.5 エンストロフィーとエネルギー消散率
 4.6 消散,エンストロフィーおよび圧力のスペクトル  
 4.7 一様等方性乱流の物理空間での渦構造-ワームと渦シート―  
 4.8 乱流の要素渦と微細渦―エネルギー消散機構―
 4.9 波数空間でのエネルギー輸送:エネルギー輸送関数T(k)とエネルギー流束Π(k)―カスケードと逆カスケード― 
 4.10 物理空間でのエネルギーとエンストロフィーの輸送―渦構造の空間的時間的間欠性,局在性―    
 4.11 渦素近傍の渦運動と機構       
 4.12 等方性乱流中の渦の生成過程とエネルギー輸送機構   
 4.13 Taylor-Green過程―大きな規則的な渦場からの乱流場の形成―
 4.14 等方性乱流の不安定周期運動           
参考文献                

5.壁乱流のコヒーレント構造
 5.1 壁乱流のコヒーレント(大規模秩序)構造の発見と展開の歴史
 5.2 壁乱流のコヒーレント構造
 5.3 外層のコヒーレント構造―ヘアピン渦の連なり―  
 5.4 壁乱流のその他の特性-相関,1次元および2次元スペクトル,エネルギー輸送,確率分布―
 5.5 壁乱流における渦チューブと渦シート 
 5.6 圧力変動               
 5.7 乱流の自己維持機構―壁近傍領域の乱れの自律,再生維持サイクル―                       
 5.8 乱流中に埋め込まれた不安定周期解
 5.9 厳密コヒーレント構造
 5.10 乱流モデル
 5.11 粗面,川,波,植生層,都市の流れの乱流構造  
 参考文献

6. 混合層,剪断層の乱流      
 6.1 乱流混合層の巻き上がり 
 6.2 渦の合体
 6.3 リブ構造
 6.4 リブ渦の間隔     
 6.5 乱流化
 6.6 PODおよびウェーブレットによる混合層の解析
 参考文献

7. 後流の秩序構造,大規模構造
 7.1 円柱の後流―カルマン渦列,発生周期,抵抗―  
 7.2 円柱後流の渦構造
 7.3 第2渦列の出現    
 7.4 カルマン渦列に関するその他の問題
 7.5 角柱と平板の後流
 7.6 球の後流
 参考文献

8.軸対称噴流
 8.1 軸対称噴流の安定性
 8.2 安定問題の数値シミュレーションおよび実験
 8.3 軸対称噴流近傍領域の渦構造
 8.4 軸対称噴流の遠方領域の構造
 参考文献

9.境界層の遷移,剥離の制御
 9.1 境界層の安定化―遷移制御,乱流への遷移を遅らせる方法― 
 9.2 境界層の剥離を防ぐ方法―流れを乱流化する方法
 9.3 縦渦の安定化効果,遷移制御
 9.4 後退翼境界層の遷移,剥離の制御
 9.5 遷移の能動制御
 9.6 プラズマ・アクチュエーターによる剥離制御
 9.7 音による剥離制御
 参考文献

10.混入物,添加物による乱流制御―乱流の制御(1)―
 10.1 抵抗則と抵抗低減
 10.2 ポリマー混入流
 10.3 ポリマー流のECS ―層流3次元進行波厳密解―
 10.4 一様等方性乱流中でのポリマーの挙動 
 10.5 界面活性剤
 10.6 気泡の混入
 10.7 固体微粒子浮遊流
 参考文献

11.表面加工による制御―乱流制御(2)―
 11.1 リブレット
 11.2 コンプライアント(柔軟性,柔順性,柔応性)表面
 11.3 翼前縁形状の加工
 11.4 LEBU
 11.5 撥水性表面加工
 11.6 空力音,騒音の制御
 参考文献

12. 能動制御―乱流の制御(3)―   
12.1 はじめに
 12.2 壁乱流の自己維持機構の概要と抵抗低減の基本戦略
 12.3 制御理論
 12.4 線形化ナビエ-ストークス方程式    
 12.5 制御デバイス
 12.6 様々な能動制御法―能動制御(Ⅰ )―      
 12.7 流下方向の壁面運動による抵抗制御―能動制御(Ⅱ)―   
 12.7 壁面のスパン方向の振動,波動による能動制御―能動制御(Ⅱc)― 
 参考文献

13. 日本における乱流研究
 13.1 日本の乱流研究の先達者達
寺田寅彦/谷一郎/今井功/井上栄一/松井辰彌/濱良助/佐藤浩/種子田定俊/巽友正
 13.2 日本の乱流研究への貢献
 13.3 乱流と私
  
人名索引/事項索引

執筆者紹介

日野幹雄(ひの みきお)
 東京工業大学名誉教授・工学博士
 1932年 秋田県に生まれる
 1955年 東京大学工学部卒業
 電力中央研究所,東京工業大学助教授・教授,中央大学教授を歴任

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