建築計画のリベラルアーツ ―社会を読み解く12章―

森 傑(編著)/岩佐 明彦野村 理恵小松 尚栗山 尚子松原 茂樹(著)

森 傑(編著)/岩佐 明彦野村 理恵小松 尚栗山 尚子松原 茂樹(著)

定価 3,740 円(本体 3,400 円+税)

B5判/160ページ
刊行日:2022年04月05日
ISBN:978-4-254-26650-4 C3052

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内容紹介

建築計画学の知識を実社会で活かす際に必要となる教養的視野を広げるための教科書。新国立競技場の計画・設計の問題をはじめとして,建築関係者・市民両者にとって重要な12のテーマを解説し,現代的な論点を投げかける。

編集部から

建築と社会に関する簡単には答えの出ない問いを投げかける書

英題=Liberal Arts in/of/for Architectural Planning

目次

1.  発注と受注
1.1 国民的論争となった新国立競技場
1.1.1 象徴と日常の公共建築
1.1.2 大きさの問題
1.1.3 お金の問題
1.1.4 レガシーへの不安
1.2 利用者と納税者が意識される手順と方法
1.2.1 計画と設計の関係
1.2.2 手順としての計画
1.2.3 模索される適切な発注
1.3 新国立論争の解読
1.3.1 わかりにくい計画と設計
1.3.2 世間の常識と建築界の常識
ディスカッション:いつ・誰が・何をすべきか?

2.  行政とまちづくり
2.1 トップダウン型まちづくり
2.1.1 70年がかりで完成する都市計画道路
2.1.2 「計画決定」は止められない
2.1.3 動き出した都市計画の見直し
2.1.4 法規(用途地域・容積率)で形づくられる街のかたち
2.1.5 インセンティブによる誘導
2.1.6 トップダウン型まちづくりの限界
2.2 パワーダウンする官の力
2.2.1 夕張市の「倒産」
2.2.2 行政が破綻するとまちはどうなる
2.2.3 他人事ではない「夕張ショック」
2.3 官から民へ
2.3.1 官と民が協働して公共サービスを維持する仕組み
2.3.2 加速する官民連携
2.3.3 暴走寸前の官民連携
2.4 市場経済とまちづくり
ディスカッション:都市計画図を比較する

3.  職能と倫理
3.1 自治体を訴えた建築家たち
3.1.1 不安定な建築のプロセス
3.1.2 報われない努力
3.1.3 政治と社会に揺れる建築
3.2 設計者という仕事
3.2.1 請負か準委任か
3.2.2 建築士と建築家の違い
3.2.3 いわゆる専兼問題
3.3 求められる良識
3.3.1 当たり前のこと
3.3.2 専門家の権力性
3.3.3 建築家は頂点ではない
ディスカッション:建築を評価すること

4.  ライフイベントと住
4.1 住宅双六の全体性と個別性
4.1.1 不確定な生涯設計
4.1.2 住宅双六に描かれるライフイベント
4.2 新たな働き方と住まいの関係
4.2.1 職住分離と職住近接
4.2.2 住まいと住所
4.2.3 複数拠点での生活は実現するか
4.3 家族と住まい
4.3.1 家族と世帯
4.3.2 一つ屋根の下の家族
4.3.3 分散してつながる家族
4.4 住まいを引き継ぐというライフイベント
4.4.1 多様な「普通」
4.4.2 住まいの終活
ディスカッション:オリジナル住宅双六をつくってみよう

5. 消費と財産
5.1 住宅が備えるさまざまな価値
5.1.1 個人や地域の財産であり,消費の対象にもなる住宅
5.1.2 代々引き継がれた住宅
5.1.3 借家に潜む知恵
5.2 郊外住宅地の開発と終の棲家の取得
5.2.1 郊外住宅地の誕生
5.2.2 住宅の工業化と商品化
5.2.3 短寿命の日本の住宅
5.2.4 消費者志向の住宅供給
5.3 人口減少と建築,住宅
5.3.1 空き家・空き地
5.3.2 公共施設の縮充
5.3.3 多主体協働型の公共施設再編
ディスカッション:あなたの空き家対策

6. 開発と保存
6.1 似たり寄ったりな開発と諸問題
6.1.1 駅前を中心としたタワーマンション建設
6.1.2 増床を前提とした再開発事業の手法
6.1.3 再開発事業は予定通りにいかない
6.2 保存と開発のバランス
6.2.1 歴史的建築物の背後の開発をおさえて空と建物を保存する
6.2.2 歴史的建築物の壁面を保存する
6.3 歴史的建築物の保存と活用
6.3.1 歴史的建築物の保存の意味と制度
6.3.2 市の買取・運営による歴史的建築物の公共施設としての活用
6.3.3 民間活力の利用による歴史的建築物の保存・活用
6.4 資本主義を重視した都市・まちづくりからの脱却
ディスカッション:歴史的な建築物の保存と活用を考えてみよう

7. ローカルとグローバル
7.1 建築のローカリズム・グローバリズム
7.1.1 ローカルとグローバルの共存
7.1.2 建築の始まり―ヴァナキュラーな建築―
7.1.3 建築の国際化―インターナショナルスタイルの建築―
7.2 社会の要請と建築・都市
7.2.1 富国強兵,殖産興業,復興,そして経済成長
7.2.2 既視感のある風景
7.2.3 市民や住まい手の目線で生まれる建築
7.3 建築やまちのアイデンティティ
7.3.1 文化財としての建築・まち
7.3.2 非専門家による建築・まちづくり
7.4 ローカリズムと地域振興
7.4.1 地方の再発見
7.4.2 観光と建築・まち
7.5 グローバルな人,物の流通と建築,まち
7.5.1 外国人がささえる建築・まち
7.5.2 地場材料への再注目
ディスカッション:ローカリズムをテーマに,レポート課題を出題せよ

8. マイノリティとダイバーシティ
8.1 社会参加の保証
8.1.1 マイノリティとは
8.1.2 シティズンシップとは
8.2 障害者のとらえ方と障害による不利
8.2.1 障害をとらえるモデル
8.2.2 障害による不利
8.2.3 合理的配慮
8.3 居住の権利は基本的人権
8.4 社会的排除と都市のソーシャル・ミックス
8.4.1 社会的排除
8.4.2 都市空間における社会的排除
8.4.2 ソーシャル・ミックス
8.5 テニュアブラインド
ディスカッション:自分の町のソーシャル・ミックスを知ろう

9. 被災と防災
9.1 発災期(避難行動)
9.1.1 なぜ体育館で避難生活を送るのか
9.1.2 スフィア基準と日本の避難環境
9.1.3 大きく方針の異なるイタリアの避難環境
9.1.4 長期化する避難生活/避難と仮住居のギャップ期間をどう埋めるか
9.1.5 「災害ユートピア」とその互助精神の活用
9.2 再建・回復期
9.2.1 パワーダウンする日本の住宅生産能力
9.2.2 多様化する仮設住宅
9.2.3 ストック型社会時代の仮住まい
9.2.4 災害常襲時代の仮設住宅
9.2.5 ソーシャルハウジングとしての災害公営住宅
9.3 記憶と備え
9.3.1 記憶と伝承
9.3.2 記憶とトラウマ
9.3.3 想定を乗り越える災害
9.3.4 エスカレートする「想定津波高さ」
9.3.5 求められるリスクと利便・コストのバランス
ディスカッション:避難所への必携三アイテム

10. エコロジーとエコノミー
10.1 気候変動・地球温暖化への世界レベル・国レベルの対応
10.1.1 地球レベルでの人口増加と都市化の拡大
10.1.2 パリ協定での日本の削減目標
10.1.3 日本の地球温暖化対策
10.1.4 持続的な開発目標SDGs
10.2 自然と建築との関係
10.2.1 建築分野での環境保護
10.2.2 グリーンビルディング
10.2.3 バイオフィリックデザインを採用した建築物
10.3 住民レベル・企業レベルの環境に配慮した行動
10.3.1 個人レベルでの環境に配慮した行動
10.3.2 企業レベルでの環境に配慮した行動
10.3.3 環境に配慮した行動による成果や手ごたえ
10.4 消費経済の概念の転換―使い捨てから使いこなすへ,所有から共用へ―
10.4.1 移動のシェア(ライドシェア・サイクルシェア)
10.4.2 空間のシェア(駐車スペースのシェア・建築物のシェア利用)
10.5 シェアリングエコノミーと場所性
ディスカッション:あなたにとってのエコロジーとエコノミーを考えよう

11. 地球と暮らし
11.1 その敷地は地球上にある
11.1.1 どこに居を構えるか
11.1.2 ハザードマップをどう読むか
11.1.3 その住宅地はどのように造成されたか
11.2 遊動生活にみる定住生活の手がかり
11.2.1 人類はなぜ移動してきたか
11.2.2 安全で快適な遊動生活
11.2.3 コモンズの悲劇と反コモンズの悲劇
11.2.4 離合集散により保たれる社会集団
11.3 定住社会の移動性
11.3.1 定住を支える移動
11.3.2 移動する都市
11.3.3 スケールを横断する旅 
ディスカッション:地球に暮らす術 

12. 健康と公衆衛生
12.1 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック
12.2 健康
12.3 社会的共通資本としての公衆衛生を担う保健所
12.3.1 社会的共通資本としての公衆衛生
12.3.2 保健所
12.3.3 健康格差
12.4 看護(nursing)
12.4.1 看護覚え書きを読む
12.4.2 住宅の高性能化と家の能動的な管理
12.5 つながりからとらえる健康
12.6 社会的孤立の解消
12.7 食から捉える健康
12.7.1 フードデザート
12.7.2 郊外住宅地開発の食料品のアクセスの計画
12.7.3 フードデザートの解決に向けて
ディスカッション:食の面から将来の地域の姿を考えよう

執筆者紹介

■編著者
森  傑 北海道大学大学院工学研究院建築都市部門 (1章,3章)
■著 者(五十音順)
岩佐明彦 法政大学デザイン工学部建築学科 (2章,9章)
栗山尚子 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻 (6章,10章)
小松 尚 名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻 (5章,7章)
野村理恵 北海道大学大学院工学研究院建築都市部門 (4章,11章)
松原茂樹 大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 (8章,12章)

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